福岡RKB毎日放送の情報番組「ニュースウォッチ」
第一交通産業の田中亮一郎社長にコロナ下の雇用を聞く
苦境を乗り越えるためのキーワード「希望」

2021年3月1日付・第512/217号

【福岡】田中亮一郎・第一交通産業社長は2月28日放送の福岡・RKB毎日放送の情報番組「ニュースウォッチ」のコーナー「トップに聞く」でインタビューを受けた。

ナレーションで「第一交通産業は昨年6月、60周年を迎えた。現在、北海道から沖縄まで34都道府県に200以上の事業所を展開。タクシーの保有車両数は国内最多の約8270両」と紹介された。
田中社長は「コロナ禍で、人が移動しなくなった。夜8時以降は仕事がほぼ壊滅的にないので、観光地では人が来なくなったということで、かなり影響が大きい」と語る。

第一交通産業は、2020年4月~9月期の第2四半期連結決算で、売上高372億円(前年比71・2%)で24億円の赤字となった。

しかし、10月以降は新築マンションの分譲が順調に進み、昼間にタクシーを利用する人が増加、タクシー事業も収支も黒字に転換した。2020年4月~12月の第3四半期連結決算では、売上高628億円(前年比64・5%)、8億9000万円の赤字まで持ち直した。

田中社長は「多分仕上がりでは、10億円前後ぐらいの赤字になってしまうのだろうと思っている」と見通す。多くの企業が苦しい経営状況となる中、第一交通産業は2月15日、新型コロナの終息を見据え、来年3月末までにタクシーの運転者など2000人を、定期採用に加え、正社員として採用すると発表した。新卒高校生や大学生を積極的に採用し、運転者の平均年齢を60歳以下に引き下げたい考えだ。

さらに、田中社長は「雇い止めや希望退職とかが多く出ている中で、これから良くなれば車も動くし、人も動くし、観光だって出てくると思う。全ての業種がまた、人集めに走ると思う。そのときに同じスタートだと遅れてしまう。当社には寮もあるし、借り上げ社宅もある。営業所の中に託児所をどんどん作っている。ただ、ドライバーを集めるということではなく、当社のサービスを知ったドライバーを、いかに今のうちに育てておくか、とうことだと思う」と語った。

第一交通産業は、ママサポートタクシーやおでかけ交通など路線バスが廃止された地域の足となる乗合タクシーなどの新しいサービスを、次々に導入してきた。コロナがあったから生まれたサービスとの質問に、田中社長は「新型コロナの無症状患者の宿泊施設までの輸送やワクチンの集団接種会場まで何人かをまとめて連れて行く仕事もあると行政から言われている」と答えた。さらに、「お墓参りサービスや買い物代行サービスや出前サービスなど、今までタクシー業界がやっていなかったようなことを、この数年やっている」とも。昨年3月、北九州市のコロナ感染者第一号が運転者から出た。

田中社長はただちに記者会見を行い、社名を公表。営業所の業務を2週間自粛した。「当社はモタクのGPSで全ての利用者をどこで乗せたか分かるシステムがあるので、公表すべきだと思った、2週間営業所を休んで、利用者が戻ってくるかな、と思ったら、『タクシーがなくて困っていた』という地域の人の声があったから良かったなと思った。誠心誠意対応したのが良かったと思ってる」と振り返る。

乗車前の検温など運転者らの健康管理を徹底するとともに、タクシーとバスの全車両に除菌効果が期待される低濃度オゾン発生装置を設置し、運転者と利用者が安心して乗車できる環境を整えた。最後に苦境を乗り越えるためのキーワードを聞かれると、田中社長は迷うことなく、「希望」と色紙に書き、「新型コロナを克服できることにおおきな『期待』と『希望』を込めて、IT化がかなりのスピードで進んでいるし、DX化をこれからタクシーと言えども、進めていかないと、たぶん取り残されてしまうだろう。『辛いけど、会社はまだ大丈夫だから』と今、社員に強く言っているところだ」と語り、前を向いた。

写真:2月28日放送の福岡・RKB毎日放送の情報番組「ニュースウォッチ」のコーナー「トップに聞く」から