DiDi 広島交通圏で事前確定運賃サービス開始 中国 四国 九州で初
3月1日から協組タクシーセンターの3社、広交タク、翌2日に広島第一の2社
3月中にDiDiアプリ適用の23社中12社438両で実施予定
2021年3月1日付・第512/217号
【広島】DiDiモビリティジャパン株式会社(東京都中央区、Stephen Zhu社長)は3月1日から、広島交通圏でタクシー配車アプリDiDiによる事前確定運賃サービスを開始した。中国・四国・九州地方での事前確定運賃の実施は初。同運賃は令和4年2月までの限定認可。
DiDiモビリティジャパンでは、コロナ下でこの取組を可能にしたのが、1月15日に実施されたDiDiとソフトバンクから受けた計52億円の増資だとしている。また、3月1日から28日まで行われるPayPay祭に参加しており、期間中は最大20%の還元が可能としている。
地元メディアは「渋滞の恐れがある場合や、初めて訪れる場所でも安心してタクシーを利用できるメリットがある一方、通常のメーター運賃より高くなることがある」とする一方、「サービスの拡大が、新たな需要の掘り起こしにつながるか注目を集めそうだ」と期待を示した。
DiDiは現在、北海道(旭川交通圏)、静岡(浜松交通圏)、愛知(名古屋交通圏)で事前確定運賃サービスを行っている。
今回、広島交通圏で3月1日から有限会社広三自動車、有限会社胡タクシー、丸三タクシー株式会社(3社の保有車両数130両、当日、事前確定運賃サービスに対応した車両は5両)、広交タクシー株式会社(保有車両数145両)の4事業者で同サービスを先行実施した。
広三自動車、胡タクシー、丸三タクシー3社の本社営業所がある広島市南区の「協同組合タクシーセンター」で記者会見が行われ、DiDiモビリティジャパンの宮脇竜一郎・営業本部長、協組タクシーセンター理事で胡タクシー社長の石川正宏氏が質問に答えるなどした。石川氏はコロナ下のタクシー経営に触れ「夜の酔客の利用のウエイトが高いので、ひじょうに売上げに打撃を受けている。不要不急の外出自粛で、タクシーの利用頻度が低下している。月によっては売上げが前年比で7割程度落ち、現在も客は前年同期の半分に満たない」と述べ、深刻な状況とした。
翌2日からは、広島第一交通グループの有限会社はと第一交通、平和第一交通株式会社(2社の保有車両数60両)が合流した。有限会社カープタクシー、株式会社廿日市カープタクシー、株式会社矢野カープタクシーのカープタクシーグループ3社(保有車両数計163両)は3月中旬から実施する。祇園交通株式会社(保有車両数20両)、株式会社城南交通(保有車両数27両)、中国タクシー株式会社(保有車両数99両)は事前確定運賃の認可は受けているが、運転者教育等、実施に向け準備中で、3月末までに実施予定。
3月末までに広島交通圏でDiDiアプリ配車サービスを行っている23社のうち、ほぼ半数の12社(コロナ休車等を除く計438両=DiDiモビリティジャパンの集計)が事前確定運賃サービスを実施することになるが、協組タクシーセンターの3社同様、当初のサービス提供は教育を受けた運転者が乗務する一部車両に留まりそうだ。
DiDiモビリティジャパンでは、タクシーメーター運賃によるアプリ配車サービスを行っている主要都市エリアで、4月以降、新型コロナウィルスワクチン接種に向かう人を対象に無料配車を実施するとしている。事前確定運賃サービスを実施している4エリア以外の地域も含まれる。
無償配車に際しては上限運賃を設け、クーポン券の発行などサービスのあり方を検討しているが、利用者が接種を目的に病院に向ったのかなど、確認のあり方も模索することになりそうだ。また、自治体によっては、タクシー無料乗車券の発行を検討しているところもあり、そうした地域での無料配車のあり方もすり合わせしたいとしている。
事前確定運賃は、国交省が2019年10月に認可したニューサービス運賃。同省によると、認可当初に参入したタクシー事業者は約200社だったが、今年2月1日時点の申請件数は、東京や大阪など32地域の個人4176事業者、法人337事業者に拡大した。現在も増え続け、最大約3万6400両で利用可能になるという。
写真:撮影に応じる胡タクシー社長の石川正宏氏(左)とDiDiモビリティジャパンの宮脇竜一郎・営業本部長