全タク連 今年最後の定例正副会長会議
国交省、一括定額運賃 親しみあるネーミングを募集
来年1月20日に新年賀詞交歓会 着席方式で飲食なし

2020年12月15日付・ 第506/211号

【東京】全タク連(川鍋一朗会長)は12月9日、東京都千代田区の「自動車会館」で、今年最後の定例正副会長会議を開いた。出席した早船文久・国交省旅客課長から「一括定額運賃は堅い表現で、回数券や(自治体との連携などによる)定期券などを想定しにくい。初乗り距離短縮運賃を『ちょい乗り運賃』と表現したような、分かりやすい名称があれば使いたい」として、新運賃のキャッチフレーズを求めた。地方の副会長からは、「乗合タクシーの運賃にも一括定額運賃を適用してほしい」との意見があり、国交省側は検討を約束した。

冒頭、川鍋会長は「営収もかなり回復し、新型コロナウィルス感染拡大は、ようやく収まってきたと思ったら、第3波がやってきた。東京でも、12月5日土曜から17日まで飲食店の営業が22時までに制限され、営収が大幅に落ちている。自身の忘年会も、半分以上がキャンセルとなった。こうした中、10月から11月、与野党のタク議連総会が開かれた。来年、総選挙が予定されるということもあるが、坂本最高顧問のはからいで、ちょうど良い時期に開かれた。

与野党3議連とも議員本人の出席が多く、これまでの最高の出席者数だったと思う。全国で我われが行っている日頃の議連議員らとのコミュニケーションの積み重ねの結果だ。経済対策で初めて財務省まで行った。残念ながら、来年2月末までという雇調金の微妙な決着を見ると、かなりの綱引きがあったのだろうと想定している。3月以降は、いきなりなくなるということもなくなると思うので、何とか公共交通機関の維持に努めたい」と述べた。

その上で、中止の方向が伝えられていた全タク連と全自無連・関自無協との共催で開かれていた新年賀詞交歓会について「何とか開催したい。来年中には絶対に選挙があるということもあり、政権の出方もあまり見えていないので、そのようなことに備え、飲食はできないが、タクシー業界はなんとしても生き残るという気概を、全国の議員先生がたに見ていただきたい。そのようなことは大事なので、開催の方向で考えさせていただきたい」と理解を求めた。

全タク連・全自無連など共催の新年賀詞交換会は規模を縮小して、来年1月20日午後3時から東京都千代田区の「経団連会館」で1時間半程度開催することが確認された。例年行われている正副会長会議および常任理事会は行わない。ただ、感染拡大防止対策のため、全員着席方式で行われるため、全240席しか用意できない。タク議連議員、国交省関係者など来賓の席数を確保するため、会員事業者側の人数は、例えば各県3、4人までとなるなど、かなり絞られることになりそうだ。

第3次補正予算から拠出される感染防止対策の補助に絡んでは、出席している副会長から「国交省からニューノーマルタクシーの空気清浄機やタブレットモニターに対し半額補助(合計10万円の半額で1両あたり5万円)の意向が示されているが、第3波が到来し、さらに経営状況が苦しい中、1両5万円はとても支払うことができない。その辺を何とかしてほしい」などとする訴えがあった。この意見に対しては、今度1.5兆円の補正が拠出される地方創生臨時交付金を使うなど、国と地方の協調補助の方向で調整できないかという声もある。

一方、協調補助の場合でも、一定額を事業者が出すことが前提のため、かえって国の「2分の1補助」比率を小さくさせてしまう可能性が残るなどの指摘もある。

写真:上=会議の冒頭、発言をする川鍋会長(中央)、
下=川鍋氏の発言を聞く、祓川局長、早船課長、坂本・最高顧問、副会長、専門委員長ら