祓川局長 空気清浄機 モニター半額補助の考え
タクシーの安全・安心を来年の東京五輪来訪者にアピール
120億円規模第三次補正 12月中旬閣議決定 前倒し執行視野に折衝

2020年11月21日付・第504/209号


【東京】祓川直也・国交省自動車局長は11月18日に衆院第一議員会館で行われた野党最大議連であるタクシー政策議員連盟の総会で、第三次補正にニューノーマルタクシーに搭載される空気清浄機とモニターをセットで補助できるよう予算化に向け財政当局との折衝が最終局面を迎えていることを示唆した。空気清浄機とモニターはセットで10万円するもので、この半額を補助の対象としたい考え。総額120億円程度になると見られ、来月中旬の閣議決定を見て、来年1月以降の国会承認を待たず、前倒し執行すると意気込んだ。

祓川局長は「タクシーならではの補正予算は、第一次も第二次もない。乗合タクシーはバスに近いということで、少しあるが、タクシーには補正はない。空気清浄機のフィルターはひじょうに高性能で、新型コロナウィルスに限らず、インフルエンザウィルスや花粉症など目に見えない粒子を強力に吸着するフィルター。タクシーは1両に空気清浄機1台、バスは1両に2台設置する。これが6万円。こうした粒子が、タクシー車内にどのくらいあるのか。数値の100が満杯で、0がない状態を示すモニターだが、タクシーでは空気清浄機を付けて、換気をすれば、1か2の数値を指す。タクシーの利用を控えるというのは、車内空間が怖いからではないのか。モニターで見える化すれば、タクシーを利用するようになるのではないか。6万円の空気清浄機とフィルター、4万円のモニタータブレットをセットにして、半額補助で第三次補正で行き渡らせたいということで今、財政当局と調整している。これは、菅内閣が誕生したときに、来年の東京オリンピック・パラリンピックでコロナに打ち勝って外国の人に来てもらおうと。そのために科学技術を取りまとめて、内閣の政策にしようと位置づけられている器機なので、しっかりと導入していきたい。どのくらいの効果があるのかということに対しては、三鷹の国交省研究所にタクシー車両に持込み、車内に煙を入れて、フィルターを着けた場合と着けない場合を比較した。そうすると、予想よりも効果があり、40%ぐらい時間を短縮して車内がきれいになった。このフィルターを設置すると、利用者も安心するし、運転者の安心にもつながる。モニターと一緒に普及させたい。来年、外国のお客さんが来たときに、タクシーに乗ればいちばん安全だと思ってもらえればいいと思っている。10月にスーバーコンピューターの富岳でも測定してもらった。その結果が近々に出てくる。いろいろな分析をしてもらった。分かり次第、整備して皆さんにお知らせしたい」と述べた。

これに対し、福山哲郎・参院議員(立憲民主、京都)は、第三次補正からの拠出を検討しているニューノーマルタクシーなどタクシーの感染対策に対し、「7兆円の予備費から先行執行すべきだ。現実の感染症対策なので、補正まで待っていると来年2、3月となると、オリンピックやるつもりなのだろうから、間に合わない。なるべく早期の執行を財政当局と交渉していただきたい」と質問。

秡川局長は、「審議されるのは来年になるだろうが、メーカーが今、量産体制に入っているので、それに遡って執行できるよう12月なかばのタイミングで閣議決定されるので、そこから活用できるのではないか。良い話をなるべく早くやっていきたい」と説明した。

写真:上=「良いものは、より早く」と決意を表明する祓川直也・国交省自動車局長
下=「審議なしの前倒し執行は野党として了承しかねる」として7兆円の予備費からの執行を求める福山哲郎・参院議員