大阪メトロのシティバスがタクシーと競合?
生野区と平野区 計39両のワゴン車でAIデマンド
大阪業界が市の実証実験に意見書でクレーム

2020年11月11日付・第503/208号



【大阪】大阪タクシー協会と、大阪市平野区、生野区に営業所のある9事業者などは11月2日までに、AIオンデマンド交通の実証実験を大阪市から受託した大阪メトロ(旧大阪市交通局)が来年3月から1年間実施することに対し、同地域を主な営業エリアとするタクシーと競合関係になるなどとする意見書(パブリックコメント)を提出し、再考を促した。

実証実験は、タクシー車両としても使われているハイエースクラスの8人乗り普通車39両(平野区33両、生野区6両)で、300mごとに停留所を設置するなどの一定区域を市バス一区間運賃と同じ大人210円、小児110円で朝6時~夜11時台に運行するというもの。

■AIオンデマンド交通の社会実験に関する民間事業提案に係る事業者意見(要旨)

大阪タクシー協会他、生野区と平野区に営業所があり、これら地域を主な営業エリアとす地元事業者からは、「タクシーと同様のビジネスモデルであり、バス(路線・区域)とタクシーが混在することになり、タクシー事業の事業経営も厳しくなることから、タクシー事業との連携、情報共有など慎重に取り扱っていただきたい」とした上で、①今回の提案が一般乗合事業の不特定・区域運行であること②車両は、乗車定員8人で、乗合と貸切の違いはあるが、予約者1人でも運行すること③乗降場所がきめ細かく設定できること――の3点をタクシーと同様とする理由に挙げている。また、「少なからずタクシー事業者には影響があると考えられるので反対」とする意見もあった。

一方、実証実験運行エリアの一つ、ワゴン車6両の運行が予定される生野区は、AIオンデマンド交通の理解を深めるため、提案事業者の大阪メトロに参加を呼びかけ、11月27日に生野区役所内で50人規模の第3回検討会を開催するとしている。

写真:上=33両のワゴン走行が予定される平野区の運行予定区域と停留所設置予定地点を示した地図
中=来年3月からの実証実験で使用されると見られる「8人乗ワゴン」
下=タクシー業界で一般的に使われている10人乗ハイエース(運転者含む)