末満章悟 近運局自動車交通部長が定例会見
準特定地域指定1年延長は2年4月以降との比較
マスク不着用運送拒否 約款変更は関運局と共同歩調

2020年9月21日付・ 第498/203号

【近畿】近運局の末満章悟・自動車交通部長は9月17日、大阪市中央区の「大阪合同庁舎4号館」内で、定例記者会見を開いき、本紙のIT(リモート)点呼、コロナ禍に伴うマスク不着用利用者乗車拒否を可能とする運送約款変更に関する質問などに、次のように答えた。

地域協議会開催の検討を

―― 大阪と神戸は準特定地域に指定されているが、コロナ禍の影響で地域協議会が開催されていない。それによる弊害は?

末満 営業方法の制限による供給輸送力の削減をするためには、活性化事業計画の認定が必要。その活性化事業計画の認定を受けるには、地域計画を策定しなければならない。その地域計画を策定する場が地域協議会なので、これが開催されないと全日休車等、供給輸送力の削減できないことになるので、協議会事務局には適切な形で協議会開催の検討をお願いしたいと考えている。

―― 10月1日からタクシー出前サービスが貨物自動車運送事業許可を取得すれば、令和4年9月30日まで延長できるようになった。

若林(隆司・自動車監査指導部長) タクシー車両で飲食物を運ぶので、何かあるとタクシーが、ということになる。安全運行に努めてほしい。制度自体を広め、運行管理を含めた安全対策が必要になると思うので、旅客第二課から業界に対して発信をお願いしている。登録免許税については12万円を納付していただくことになる。

6月以降 臨店監査9件

―― コロナ禍での監査について、傾向はどのようなものになっているか

若林 5月末なで監査を停止していた。ただ、6月以降、一定の感染防止策をとりつつ、相手の事業者も防止策を取っている場合には、監査に出向いている。タクシーの臨店監査は8月末現在、9件行っている。この他、フォローアップについては随時行っている。大阪運輸支局管内では救護義務違反1件、和歌山運輸支局管内では長期監査未実施1件、死亡事故1件、携帯電話使用1件、兵庫陸運部管内では救護義務違反5件。救護義務違反はタクシーの悪いイメージを与える。実質的には、新聞紙上で見かけるような自家用車の救護義務違反とは少し違うのだろうが、ちょっと接触し、停車して「どうもないか」と声をかけ、相手も「どうもない」と返答したのでその場を立ち去ったというのも含まれる。ちょっとした接触でも、すみやかに警察等に連絡していただき、必要な措置をとるように事業者、運行管理者等から運転者に周知徹底を図ってほしい。

タクシーIT点呼は可能

―― タクシーのリモート点呼は可能なのか、お伺いしたい

末満 IT点呼のことだと思うが、タクシーもIT点呼ができる。やっている事業者がどれくらいあるかは把握していないが、できるかできないかという質問に対しては、できる

山本(康彦・旅客第二課長) 要件は3点あり、まず、営業所開設後3年が経過していること、過去3年に行政処分を受けていないこと、過去3年に有責事故を起こしていないことのどれもクリアしている必要がある。この3点をクリアした事業者は、所定の用紙を提出しれば、IT点呼ができるようになっている。運行管理者は置かなければならない。

ただし、5両未満の営業所には有資格の運行管理者の選任義務はないが、その営業所には、運行管理をする責任者を置く必要はある。運行管理者はいなくても、点呼は必要だ。

準特、コロナ禍で1年延長

―― コロナ禍を考慮し、準特定地域指定が1年延長されるようになったが、管内ではどの準特定地域が延長されるのか

末満 どのくらいの数値をもって急減とみなすのかを含め。これから本省に確認するが、少なくとも指定をするとか、指定を解除するとかいうのは、こちら側が行うもので、事業者側が働きかけて、指定をするとか、指定を解除するとかいうものではない。輸送実績等の数字をみて、我われがどう判断するかだ。おそらく、指定解除に関し、事業者側の意見を聞くというプロセスは踏まないのではないかと思う。地域の営収の急減が著しいという表現にある急とは、どのくらいの数値を指すのか、ということについてはまだ分からない。管内でどこか、ということに対しては、基本的に指定・解除の公示は10月1日なので、明らかにできない。

本省の通知文によると、令和2年度の準特定地域の指定解除等は、令和元年度の輸送実績等に基づき、通達の基準に照らして判断するとなっているので、今年3月については、それも込みで判断するということになる。指定解除を見送るか、どうかの判断は、令和2年度の輸送実績なので、4月以降の数字を見ることになる。解除するかどうかは、今年3月末までに令和元年度の輸送実績を見ることになるが、それをそのままやってしまうと、現下の状況からたいへんな状況になるということで、4月以降の数字を見て、輸送実績が急減している月があれば、そこはちょっと考えましょうね、というようになっている。輸送実績として見られる範囲はすべて見て判断する。

約款変更でマスク不着用拒否

―― 東京の事業者で、運送約款にマスク不着用の利用者には運送の引き受けを拒否できるということを盛り込んだ変更申請が提出された。先の航空会社ピーチアビエーションの客室乗務員からのマスク着用を拒否した男性が途中の空港で下ろされるという事件があったが、タクシーの運送約款変更についてどう思うか

末満 その件は、記事を掲載した業界紙を読んでいるし、管轄の関東運輸局からも聞いているが、マスクの着用を拒否した乗客の運送の引き受けを中断できる運送約款変更の認可申請が提出されているということは聞いている。これについては審査中だと聞いている。

我われとしては、関東運輸局の審査の推移を見ているところなので、現時点での回答は差し控えたい。利用者が公共交通機関を利用するときにマスクを着用するようにというのは、我われとしても広く周知しているところだ。各事業者もそういうスタンスを取っているのかな、と思っている。

仮に近運局管内で、関東運輸局管内で提出されたような運送約款変更申請が提出されたらどのようなスタンスを取るのかというと関東運輸局と足並みを揃えたいと思っている。

写真:会見に臨む末満章悟・近運局自動車交通部長(左)と若林隆司・自動車監査指導部長(右)