二種免不要 電動折り畳みバイクワンマン運転代行
公安委がグレーゾーン解消制度で回答
運転代行で二種免義務づけ尽力のタク業界、ビックリ

2020年9月1日付・ 第496/201号

【東京】経産省のグレーゾーン解消制度は8月26日、原付自転車を使用した自動車運転サービス(随伴車の代わりに電動折りたたみ式・原付自転車を使った事実上のワンマン(一人)運転代行)に関する照会に対し、国交省と国家公安委員会は共同で「原付自転車ではなく随伴車を伴う自動車運転代行業の場合は第二種免許の取得が必要だが、照会のあった原付自転車を使用した自動車運転サービスについては道運法の規制の対象外であることなど、ウェブサイトなどで一定の周知が確実になされていれば問題ない」との回答を行った。7月30日に当該事業者から照会があった。

株式会社ACLA(エー・シー・エル・エー、本社=福岡県福岡市博多区)は、イタリア製の折りたたみ式電動バイクDiBlasiR70を販売し、ワンマン運転代行の導入をサポートするBIC1を運営している。同社では、このビジネスモデルを「運転代行経営革命の切り札」と自負している。この他、株式会社myKeeper(茨城県つくば市、和歌山県海南市など)、アース24時間運転代行(群馬県富岡市)など多くの事業者が電動バイクを使ったワンマン運転代行を行っている。

事業の流れは、「原付自転車に乗ったスタッフが利用者の自動車が駐車されている場所まで行き、到着したら、この原付自転車を折りたたみ、利用者の自動車のトランクか後部座席に収納、スタッフは利用者の自動車を運転して利用者が指定する場所まで行き、利用者を乗せる。料金は指定場所に到着したときから発生し、目的地に到着した距離に応じた料金を利用者から徴収する。スタッフは目的地に到着すると、原付自転車を下ろして組み立て、その原付自転車で事務所まで帰る」――というビジネスモデルに基づく。

事業者からは、①このサービスが自動車運転代行業務の適正化に関する法律第2条第1項に規定する自動車運転代行業に該当しないか②道運法で定める旅客自動車運送事業に該当しないか③スタッフが道交法で規定する第二種免許の取得を要することに該当しないか――の3点が照会されていた。

これに対し、国交省と警察庁は①自動車運転代行業法第2条第1項第3号に規定する「常態として、当該自動車に当該営業の用に供する自動車が随伴するものであること」との要件には該当しないことから、同法に規定する「自動車運転代行業」には当たらない②利用者の運送要求に対し、運転者と自動車が実質的に一体として提供されている場合は、当該運転者が主体的な立場において自動車を運行の用に供するものと評価され、道運法第2条第3項に規程される旅客自動車運送事業」に該当し、同法第4条第1項に抵触することとなる。当該サービスは、利用者の運送要求に応じ、利用者の自動車に対して運転役務の提供をすることを前提としており、ただちには抵触しない――としながらも、ウェブサイトなどで、明確に「本運送は道運法の規制の対象外であり、同法が求める輸送の安全及び利用者の保護のための措置が行われているものではないこと」「事故が生じた際の責任の所在」「保険の加入の有無及び補償の内容」――の3点を周知することが望ましいとした③第二種免許は旅客自動車を旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転しようとする場合及び自動車運転代行業法第2条第6項で規定する代行運転自動車(普通自動車に限る)を運転する場合に必要とされるものであり、当該サービスがいずれにも該当しない場合には、第二種免許は不要――としている。

写真:株式会社ACLAがワンマン運転代行用に販売しているイタリア製の折りたたみ式電動バイクDiBlasiR70、BIC1がワンマン運転代行用に販売している折り畳み式バイク