沖縄、7月に運転者7人感染
クラスター発生まで7割回復も
8月、5~6割まで営収減少
2020年8月21日付・第495/200号
【沖縄】独自の緊急事態宣言が発令された沖縄では、7月中に本島で計7人の新型コロナ感染者が出たことがわかった。そのうちの1人は、クラスターが発生したキャンプ・ハンセン(金武町、宜野座村、恩納村、名護市)から軍関係の乗客を乗せた個人タクシー。この件はマスコミで報道されたが、他の6人は県のHPでわかった。
これを受けた沖縄県ハイヤー・タクシー協会の調査で、6人のうち、3人は法人の運転者であることがわかったが、残る3人は、法人か個人か、今のところわからない状況だという。また、感染経路も今のところ不明。8月に入り、離島の石垣島、宮古島でクラスターが発生しているが、これまでに離島のタクシー関係者の感染はない。
協会によると、県内タクシーの総営収は、6月には離島部を含む全平均で前年比70%程度まで回復。さらに7月は、特にGoToトラベル開始前の7月21日から25日は観光客で以前のような賑わいとなり、観光需要が回復。レンタカーが予約でいっぱいになり、国際通りに人混みが戻るなどで、タクシー業界にもかなりの手ごたえがあったという。25日以降は営収が急激に落ち込んだ事業者は多いが、それまでの回復もあり、7月は全平均で前年比76%となっていた。
しかし、8月に上旬になると新型コロナ感染者が急増、反比例するかのうように日を追うごtに営収が落ち込んできた。この一週間の数字では、地域住民の輸送だけでなく、観光需要にも対応してきた那覇市を中心に営業する大手事業者は前年比48%~50%、東部郡部で長年、地域密着型の営業を続け、観光需要の影響をあまり受けない中小の事業者でも60%程度まで落ちこだ。中旬を終えた21日現在では、大手は前年比50%前後、中小事業者は70%近くの落込みだという。大手の第一交通産業グループでは、時短や出勤調整で通常の半分程度の稼働とし、雇用調整助成金の申請を行うとしている。
南部地区・郡部の共同交通有限会社(西原町、25両)の喜屋武貞二会長は「本格的に観光を再開するのが、少し早すぎた。県にもあせりがあったのではないか。9月まで待ってからGoToトラベルを始めても、決して遅くはなかった。7月は90%台まで回復したが、7月25日以降、急激に悪くなり、8月初めからは7割り休車にして、雇用調整助成金の申請を行うことにした。これでは『GoToトラブル』だ。数字的には、4月の悪かったときよりも、もっと悪い」と語った。
離島部・八重山地区の石垣島交通合同会社(石垣市)の平良俊明社長は「4月は前年比75%減、5月は90%まで落ち込んだ。それが、6、7月には40%減まで回復していた。8月は40%となっている。緊急事態宣言が発令されてから一段と悪くなった。観光客は例年の半分もいない。しかし、20日で夜間外出禁止も解かれた。今は台風8号が接近しており、風雨が強くなってきている」と現地の状況を話した。
新型コロナ第一波では、石垣市はタクシー1両3万円を新型コロナ対策費として給付。宮古島市ではタクシー会社14社に対し、計3600万円が給付された。
写真:賑わっていたころの国際通り