全個協 第8回定時総会 役員改選で秋田会長を再選
会長 定年延長等に言及 北陸信越が副会長選考に疑義
理事会で副会長選任は会長の専権事項と回答

2020年7月21日付・第493/198号


【東京】全国個人タクシー協会は7月16日、東京都港区の「品川プリンスホテル」で、第8回定時総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で、会長に秋田隆氏(東京都個人タクシー協会、関東支部支部長)が選任され、3選を果たした。副会長には、濱本民夫氏(全大阪個人タクシー協会、近畿支部支部長、再)、櫻井敬寛氏(東京都個人タクシー協会、関東支部副支部長、再)、冨本哲哉氏(東京都個人タクシー協会、関東支部副支部長、再)、井田健司氏(福岡県個人タクシー協会、九州支部支部長、再)、丹章氏(宮城県個人タクシー協会、東北支部支部長、新)が選任された。

令和元年度決算報告、会費徴収規程の一部改正(譲渡者の会費控除等)、令和元年度事業報告、令和2年度事業計画および収支予算は承認されたが、6、7月会費はコロナ禍の影響を考慮して免除するため、新年度収支予算は修正予算を組んだ上で、あらためて示されることとなった。

冒頭、秋田会長は、個人タクシー譲渡譲受年齢の引き上げに伴う定年延長に触れ、「個人タクシーの定年を現在の75歳から2、3歳延長すること等を要望していきたい。ただ、国交省はコロナ禍から経済回復を目指すGoToトラベルキャンペーン関連への対応で多忙のため、今現在、直接、このことを伝えられていない」と述べた。例年の通常総会では、終了後の懇親会で国交省自動車局長のあいさつがあるため、個人タクシー側の要望を伝えることができるが、今年はコロナ禍の下、自粛総会となったため、懇親会は中止となった。そのため、譲渡譲受年齢延長等の要望については、あらためて国交省を訪問しなければならない。

質疑応答では、北陸信越支部の新潟から「9月開催予定の事業者研修会が、会場には定員の半分までしか入れず、開催できなくなり、たいへん困っている。現段階では、感染予防の観点から中止をせざるをえない。10月開催予定の中核リーダー養成研修会とマスターズコンテスト支部代表選考会についても検討している。早急に結論を出さなければならないが、来年7月開催予定のマスターズコンテスト全国大会を開催するのか」と質問。秋田会長は「開催について、鋭意検討中だ。新型コロナウィルス感染症の拡大は、つい数週間前までは終息に向かっているという感じがしていたが、ここに来て、都道府県で感染者数が増加している。中核リーダー研修をどうするのかについては、なるべく早く、結論を出したい。マスターズの認定にはスキルアップ研修が必要だ。この研修には、利用者サービスの向上という目的がある。この研修だけは、今年だけ行わないと認めてしまうと、何故今年は研修を受けなくてもいいが、来年は受けなければならないのか、ということになってしまう。ただ、会場がとれないのは十分に承知している。各協会、組合で工夫をして少人数で研修をする、研修内容を書いたペーパーを組合で読み合わせるなどでやってほしい」と述べた。また、「本部から一回も、コロナ関連の支部運営に関する連絡もなく、支部総会での会長の臨席について、統一見解を出してほしいと、2回ほど要望しているが、残念ながら回答してもらえていない。当支部としては、本部と緊密な連携が図れているとは思えない。ひじょうに残念に思っている。コロナ禍の中での総会開催で、委任状による議決を行うという趣旨の連絡を受けたが、これは発言の機会を抑制するものとしても言い過ぎではなく、残念なことだ。もう少し計画的に進めてほしい」とした。その上で「最低でも、正副会長と正副支部長間で、オンライン会議をやってほしい。緊急時には、このような方法で北海道から沖縄まで意見交換や意思疎通が図れるので、検討してほしい」と要望した。

秋田会長は「オンライン会議については今、検討しているので、うまくいったら報告したい」と回答した。

関東支部の神奈川からは「毎日、コロナ感染者が出ている中、何故、東京で開催するのか。まさか、こんなに毎日、三桁が続くとは思わなかった。テレビ会議など、いろいろな方法があると思う。私は日帰りするが、もしものことがあると、神奈川の事務所は閉鎖になる。皆さんのところもそうなる。やらなければならないことなのか」と述べた。

秋田会長は「どこの地域でやっても問題が起きる。今回はできるかぎりの安全対策をして日帰りにしたが、やはり総会は開催する必要がある」と理解を求めた。

近畿支部の村上拓一代議員(大阪)は「平成17年以降、個人タクシー事業の許認可者には75歳の定年が導入された。定年の延長・廃止を要望する。75歳以上になっても譲渡できるようなものにしてほしい」と要望した。

九石博昭・前副会長(北海道)は閉会あいさつで、「3年前は、新規事業許可を認めてほしいと国交省に行き、要望した。当時の藤井・自動車局長から安全・安心・快適のサービスをもっと頑張るように言われた。そのようなことをやった先に新規許可が見えてくるのではないかと言われた。一つの宿題となっており、取り組んでいかなければいけないと思っている。要望にあった定年の延長と譲渡年齢制限の撤廃については、秋田会長が開会あいさつでも触れたが、正副会長でこれを柱にするというコンセンサスはないが、私も含め心の中で、そのようなことがあったらいいと思っているのは事実だ。それを受けて、秋田会長が実現に向けた強い決意を表明した。絶対に実現しなければならない案件だと思っている」と語った。

全個協第8回通常総会終了後、総会で選任された新理事により正副会長と支部長、各専門委員等を選任する理事会が開かれた。この理事会で、北陸信越支部長の阿部政信氏(新潟県個人タクシー協会)から、副会長の人選を巡って次のような疑義があり、時間をかけて論議が行われた。

阿部支部長は東日本ブロックの副会長選出基準について「東日本ブロックは、北海道、東北、北陸信越だ、約20年前、山田元理事が、本間会長の下、副会長を務めていた。原会長になってから、副会長が仙台に移り、札幌、仙台、札幌、今回の仙台の丹氏となっている。北陸信越は除外されているのか。私の資質が不足しているなら諦める。支部長経験は丹氏と私と、どちらが長いのか。私の方が、経験は長い。ならば、出身母体で言うのか。出身母体で言うなら、九州の藤原氏は長崎で、何年か副会長を務めた。長崎と新潟は、ほぼ同等の組合員数だと思う。副会長の選出基準の中に、出身母体が大きいところから選出すると書いてあるのか」と質問。

秋田会長は「東日本から一人、副会長を選ぶということで、さんざん悩ませていただいた。ただ、副会長選出には、何の基準もない。どこにも書いていない。その中で、阿部さんと丹さんで、さんざん悩んだ。北海道は、九石さんから新人の清水さんに代わったということなので、今回は外させていただいた。支部長の経験の長さと、組合員の多さとを比較した。その中で、先の正副会長会議で他の副会長からの意見も聞いた上で、悩んで、最終的に私が丹さんに決めさせていただいた」と理解を求めた。

阿部支部長は「副会長の皆さんにお尋ねしたい。このような会長の決定で、納得するのだろうか。私はちょっとおかしいと思う。私に資質が足りないと言ったらどうなのか。そう言われれば黙って引き下がる」と反論。

井田健司副会長(九州支部長、福岡)は「福岡の組合内で役員の派閥争いがあり、揉めた。九州では西日本の次に福岡個人が大きい」と長崎の藤原氏が福岡に代わって副会長に選任された経緯を説明。「長崎の次には広島が副会長を務めた。広島が副会長を退任するときに『この次は九州がやってほしい』と要請があり、それ以降、私が副会長を務めている」とした。

濱本民夫副会長(近畿支部長、大阪)は「昔はどうだったかということは、今の組合員には関係のないことだ。阿部さんに一つだけ、共感できることは、私の出身母体は50人そこそこ。そこから大阪約2千人弱のトップになった。私がいつも言っていることは、10年、20年昔とは違う。誰がやってもできる時代は終わった。できるものにさせないと、その組織は潰れてしまう。一生懸命勉強して、次の時代に、この個人タクシーを残そうという志のある人がやるべきだと思っている。資質のことについては分からないが、(副会長の選任は会長の)専権事項だ」などとした。

写真:上=再選を果たした秋田隆会長、下=左から濱本、櫻井、冨本、井田、丹の各副会長