DiDiモビリティ、収益モデルを追求へ
地方でのサービスを一旦中断
残す都市部で、新たにアプリ使用料収受

2020年6月15日付・第490/195号

【東京】ソフトバンクと中国資本であるDiDiチューシンの合弁会社・DiDiモビリティジャパンは7月1日をめどに、全国の主要都市を含む9地域を残し、他の地方10都市など、ほぼ全国の地方部で展開しているアプリ配車サービスを一旦、中断する。時期は明示していないが、1~3年後に形を変え、地方部に再参入する計画もあるという。

残る9地域では7月初旬をめどに、利用者からアプリ利用料金を一定額収受する。このアプリ利用料金は、サービスの利用促進とクーポン券の発行に使われ、利用者とタクシー事業者に還元される。現在、アプリ使用料金を利用者から収受することについて関係省庁等と調整している。最終的に折り合いがつかない場合は保留することもありうるという。

DiDiモビリティジャパンが雇用した社員は引き続き業務を続け、一方の親会社であるソフトバンクから出向している社員は、ソフトバンクやペイペイなどソフトバンクグループ会社に戻っているとして、一部で伝聞されているような、一般紙で報道されたコロナ禍に端を発したソフトバンクグループの経営不振を理由とする系列会社リストラの一環を否定した。

一方、地方部でのアプリ配車サービスを一旦、中断することや利用者からアプリ使用料を収受することについて、DiDiモビリティジャパンは、「収益が出るビジネスモデルに転換するため」と説明している。すでにDiDiモビリティジャパンは数十億円規模の増資を実施しており、事業の持続性を維持する構えだ。

アプリ配車サービスを継続する主要地域を含む9地域は、札幌、仙台、首都圏、静岡、名古屋、京阪神、広島、福岡、沖縄と見られている。また、アプリ使用料金は、地域によってばらつきがあり、例えば、首都圏400円台、京阪神300円台、福岡200円台など、地域ごとに定額で設定、利用者の動きを見る実証実験的な側面もあるとしている。使用料の増減でダイナミックプライシングの役割を果たすかも見極めるもようだ。この辺が一部で今後、四半期ごとの業績で事業を修正すると言われている理由のようだ。一連の動きの影響で、利用者が一時的に減っても仕方ないとの考えも示した。

DiDiモビリティジャパンは、他のアプリ配車サービスを運営する会社も収益性で同様の課題を抱えており、アプリ利用料収受で足並みを揃えてくるとの見方を示し、先鞭をつけたと自負している。

現在、中国資本であるDiDiチューシンが大阪を中心に、ウーバーイーツのような出前サービス「DiDiフード」を実験的に行っているが、DiDiモビリティジャパンは、近い将来の合流を見据えている。これらの動きは23~25日、正式に一般公表される。

写真:2019年7月31日、愛知県清須市の清洲城公園で行われたDiDiモビリティジャパンの配車アプリ出発式。ここは残った