野党・タクシー政策議員連盟が緊急臨時総会
責任のなすりあい 国交省と消費者庁に怒号飛ぶ

2019年10月1日付・第470/175号

上=タクシー政策議員連盟緊急臨時総会(9月24日)の模様。正面の議連議員に発言しているのは北海道の今井一彦氏(右中央)
下=タクシー政策議員連盟緊急臨時総会(9月24日)で本運賃改定延期の経緯を説明する高島竜祐・消費者庁審議官

【東京】旧民主党国会議員など野党系議員で構成するタクシー政策議員連盟(会長=増子輝彦・国民民主党参院議員、105人)緊急臨時総会が9月24日、東京都千代田区の「衆議院第二議員会館」多目的会議室で開かれた。事務局長に広田一・衆院議員が就任することが了承された。福田守雄・国交省大臣官房審議官、高島竜祐・消費者庁審議官がこの間の経過を説明した。10月1日の消費増税分の運賃転嫁と本運賃改定の同時実施に「クレーム」を付けた府省庁の一つ、経産省にも出席を呼びかけたが、欠席した。行政側の説明に対し、出席議員からは「国交省は、各運輸局と業界の信頼関係をどう考えているのか」「政府の統制にしたがえということか」「消費者庁は、やるべき方向性が違っているのではないか」――など、厳しい発言が相次いだ。

冒頭、増子会長は「10月1日からの消費税引き上げに伴う運賃改定について、長い期間、タクシー業界、関係官庁、消費者を含め、いろいろな論議を積み重ねてきた。この件については、十分に消費者の理解を得たと認識している。何か突然、物価問題閣僚会議なるところで、少し異論が出て、便乗値上げではないのかということも含め、いろいろな意見があったと聞いている。そのことが本当に正しい意見なのかどうかも含め、もう少し、この問題について認識を深め、今後の対策をしていかなければいけない。本日は国交省、消費者庁、全タク連、ハイタクフォーラム、交運労協、関係者の皆さんにおいでいただき、さまざまなご意見を伺いながら、議連として何をしなければいけないのかを決めてきたい。この議連は、単に野党というだけでなく、歴史的に超党派でしっかりと、タクシーの改革のために消費者本位に立ち、働く人たちのためにやってきた重みがある。このことを各省庁にご理解いただいき、野党として労働者、経営者のための何ができるかをしっかりと打ち出したい。自民ハイタク議連の渡辺博道会長、公明党ハイタク振興議員懇話会の冨田重之会長としっかりとスクラムを組んで対処したい」と述べた。

福田守雄・国交省大臣官房審議官は「タクシー運賃の実質改定については、昨年6月から今年7月まで、今年10月の消費税引き上げのタイミングを念頭に置き、全国48運賃ブロックで順次申請がなされ、各運輸局で検討してきた。消費増税に伴う運賃改定が物価問題に関する関係閣僚会議に付議されることに伴い、複数の関係省庁から消費税引き上げとの同時実施について、より丁寧な検討が必要との意見が出た。これを踏まえ、10月1日には消費税引き上げの転嫁率である2%の改定のみを実施することにした。したがって、全国48ブロックの実質運賃改定の申請に関しては引き続き審査を検討しているところだ。今後の対応として、国交省としては、地域交通の担い手である運転者の気持ちに寄り添うとともに、事業者の皆さんの意見もお伺いしつつ、実質運賃改定の実施について作業を進めていきたい。その際には値上げにともなうタクシー事業の検証や経済の影響も見極めつつ、利用者への負担を十分に配慮しながら、可能な限り早期の実施に努めてまいりたい」と述べた。

高島竜祐・消費者庁審議官は「8月30日付の事務連絡が発出された経緯を説明したい。タクシー運賃を含め、公共料金については、一般消費者への影響を十分に考慮すべく、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金と、所管省庁からの協議に対して消費者庁が回答するという形になっているものとの2種類がある。今回、タクシー運賃の改定については、東京都特別区の改定に係るタクシーの運賃改定は物価問題に関する関係閣僚会議に付議する案件だった。東京都以外の人口50万人以上の都市に係るタクシーの運賃改定は、所管の国土交通省から消費者庁が協議を受ける案件となっている。東京都特別区のタクシーの運賃改定については物価問題に関する関係閣僚会議に付議する案件だったので、8月30日までに書面開催という形で開催され、各大臣の決裁を得て了承されたところだ。物価問題に関する関係閣僚会議にタクシーの運賃改定を諮るにあたり、政府では物価担当官会議というものを開いているが、その物価担当官会議において、消費税引き上げにあたっての運賃改定全般について質問があった。そこで、消費税引き上げにともなう公共料金の改定については、税負担の転嫁と合わせ、税負担以外の費用の転嫁による公共料金の改定申請がなされる場合には、個別案件ごとに厳正に対処するということになっているので、国交省の了解を得て、私どもが協議を受ける予定である人口50万人以上の都市に係るタクシーの運賃改定についても、8月29日の段階で、消費者庁から関係各省に情報提供した。各省から、関係閣僚会議に付議する案件について大臣決裁を得る過程において、人口50万人以上の都市に係るタクシー運賃改定について、複数の関係府省から、その場合は消費者庁も含まれるが、国交省に対し、より丁寧な検討が必要と考えるという意見の提出がある旨の連絡を受けた。この旨を8月29日、国交省にお伝えし、翌日の30日には事務連絡の形で国交省に伝達したという経過だ。それを受け、国交省から8月30日付で審査継続する旨の公表がなされた」と述べた。

川鍋一朗・全タク連会長は、これまでの緊急全国協会長会議での発言に加え「事業のコストをしっかりと投資し、労総者の賃金を確保して、より上げていこうと。国民の要請にこたえ、より安全・安心のレベルを上げ、より良い交通機関をつくろうと、必死に設備投資をしてきた。やはり原価が上昇してきている。今回、消費増税と同時に、というのは、国交省とも歩調を合わせ、各運輸局で2年がかりでやってきた。便乗と見られるから、直前に分けて実施した方がいいなどの議論はあった。ただ、タクシーメーターの改造費がかかるので、いろいろな議論の結果、今回は国交省が説明するから、一回で実施したらいいという流れで、各地で関係省庁と時間と労力を使い、48地域で運賃改定を行った。その地域の車両数の7割を超える事業者が申請しないと改定審査自体が始まらない。それが、最後の最後で、何故か覆ってしまった。残念を通り越し、108年のタクシーの歴史の中で、これが法治国家なのかと、強く思わざるをえない。10月1日の本運賃改定延期は仕方がないとすると、お願いしたいのは2日、3日と、一日も早く実施してほしい」と述べた。

今井一彦・北海道ハイヤー協会会長は「今回、各地方の会長も理解して運賃改定に取り付けた。8月30日の査定内容を聞いていた。これで認可されるだろうと。地方では22年運賃改定をしてなかった。15~20%の値上げ査定の地域もあった。30日にはしごを外され、消費税のみとなった。JR北海道は運賃改定の認可をもらっている。札幌は特定地域に指定され、50%が赤字の地域。特定地域協議会を開き、延長を認めてもらい、運賃改定の理解を十分にもらっていた。30日公示されると思っていた。JR北海道がよくて、何故タクシーがダメなのか。JR北海道の運賃は170円が200円などに上がるが、国民生活への影響がタクシーとどちらが大きいのか。関係省庁から納得のいく説明をしてほしい。同時がダメなら、次の公示日に実施してほしい。北海道では、冬期と他の季節では需要が違う。数年前、地方で最賃が払えないで廃業したタクシー会社がある。地方の足を守れと言っているのは国だ。鉄道もバスも廃線になっている。これ以上我々を苦しめるような政策はしないでほしい。より丁寧な検討が必要としているが、会合を開き、消費者の皆さんに十分に理解してもらっていると思っている。一日も早く我々の願いが叶うようにお願いしたい」と述べた。

伊藤実・ハイタクフォーラム代表幹事は「他産業と年収で200万円以上の格差がある中、働き方改革への対応、労働条件の改善原資として期待していた。24年ぶりの改定となる大阪をはじめ、全国の仲間が怒っている。そもそも48地域が各運輸局と相談して進めてきたのに、何故、公示直前に他省庁からの横ヤリに屈してしまったのか。しっかりと説明を求めたい。新潟では、国交省の指導にもとづき、適正化・活性化を進めた事業者が排除措置命令、課徴金納付命令を受けた経過がある。国交省には、くれぐれも、このようなことがないよう、真摯な対応をしていただきたい。遅くとも年内に認可していただきたい。合わせて、先送り、先送りで、再度の申請やり直しということにならないよう、お願いしたい」と述べた。

慶島譲治・交運労協事務局次長は「私はJR連合出身だが、身内から見ても、北海道の今井会長の話は求もっともだと思う。JR北海道では3年前、単独維持困難な路線区10路線13線区が公表された。JR北海道は単独では維持できないということだが、地域の皆さんの協力で、なんとか維持に努めている。9月5日に上限変更認可された。昨年度は198億円の経常赤字ということで、厳しい状況が続いている。そうした中、安全確保の設備投資の確保、利用者利便の向上などを理由として申請された。初乗り運賃170円から200円になることで、年間40億円の増収となる。総体で値上げ率は11・1%。消費増税分を除けば9・1%の改定率となった。労使双方が行政の皆さんの協力をいただきながら、鉄路の維持・存続に努力したい。タクシーは2007年に地域活性化再生法ができ、そこで初めてタクシーの公共交通という位置づけが、鉄道と同様に行われた。何故、タクシーも鉄道も公共交通とイコールであるにもかかわらず、JR北海道は認められ、タクシーは認められないのか、という事業者の皆さんのお怒りはもっともだと思う。基幹交通であるJR北海道はなかなか潰せないが、タクシーは霞が関のパワーバランスの中で翻弄され、ひじょうに不条理だと考えている。運賃改定は企業経営の根幹にかかわることだと考えているので、行政の恣意的運用に左右されてはならないということは、労組で一致している。国交省には、所轄官庁としての矜持を持っていただき、一日も早い運賃改定の実施を要請したい」と述べた。

意見交換で、道野隆・大阪タクシー協会経営委員長は「大阪は24年ぶりの運賃改定を目指していた。本日、お見えの坂本克己・全タク連最高顧問が協会長だった頃からの悲願だ。7割ルールを何とか達成させようと、この20年間頑張り、ようやく今年、7割を突破した。いろんな地域に応じた申請がなされ、8月30日を待っていたが、まさに大阪は、驚天動地の大騒ぎ。こうなった経過にいて詳しく聞きたい。国交省は48地域から提出された申請内容をすべて見て判断したのか。事業者の売り上げ、収支は、すべてこの申請に盛り込まれており、本当に(10月1日付の)運賃改定の必要性がなかったのか、どうか。なかったのなら、その根拠を明らかにしていただきたい。消費者庁に伺いたいのは、増税後の消費者動向が悪化するという気持ちはわかるが、それは、どのようなデータに基づいているのか、全く不明確だ。これは気分で決めたのか。大きな事務連絡だが、どんなデータに基づいて出されたのか。そこを明らかにして、一日も早く、本運賃改定実施に向け取り組んでほしい」と述べた。

出席した議連議員からは、平野博文・参院議員(大阪)は「何故、そうなったのか。しっかりと納得のいく説明をしてほしい」、逢坂誠二・衆院議員ほ(北海道)「政府の統制にしたがえということか。国交省は川鍋会長が提出した要望書に誠実に答えてほしい」、阿久津幸彦・衆院議員(東京)は「国交省は、ちゃんと自分の仲間たちは守ってやらないとダメだ。こんな会合になる前に。国交省が処理しなければならなかったのではないか。消費者庁は、やるべき方向性が違っているのではないか。消費者への詐欺問題は野放しではないか。そちらをやらないで、タクシー業界が悪化し、一生懸命頑張っているところを叩くというのは、いじめではないのか。職業差別ではないのか。憤り、憤懣やるかたない」、森屋隆・参院議員は「愕然とした。こうしたことが続くと、ハンドルを持っていた一人として言わせていただくと、タクシーの運転者はいなくなる。最終的には利用者がいちばん、迷惑を被る」、福山哲郎・参院議員(京都)は「8月31日、9月1日の土日は、私のところに電話が鳴りっぱなしで、タクシー業界の関係の人から『こんなことがあっていいのか』というものがあった。国交省は、各運輸局と業界の信頼関係をどう考えているのか。これから、いろいろなお願いをしなければならないときに、どんな信頼関係でこれからのタクシー事業を運営していくのか。守らなければならないのは、あなたたちだと思う。先ほどから抽象的に関係省庁と言っているが、いったい、どこの省庁とどこの省庁から話が来たのか、明示をこの場でしていただきたい。この関係閣僚会議も、結果としては第二の忖度となる持ち回りで行っている。そんないいかげんな話だと、各省庁上の折衝の中で、いったい何をやられてきたのか。そのことについても、明らかにしていただきたい。タクシー業界は、オリンピック・パラリンピックに向けての訪日外国人対応やライドシェア対応、いろいろなことに努力していただいている。それに向け、運輸局は指導もしてきたし。一緒にやってきたはずだ。その国交省がハシゴを外したら、いったいどのような根拠で、これからタクシー事業者の皆さんは、仕事をしていくことになるのか。そのことも含め、こんないい加減な、思いつきで政策の意思決定をされることについては、ひじょうに遺憾に思う」、船山やすえ・参院議員(山形)は「こんな大事なことを、事務連絡で知らせ、(本運賃の)値上げはダメだということ自体が、ひじょうに失礼な話だ。思いつきで値上げ申請をしたわけではない。キチンを積み上げたものを、事務連絡で、横並びだから、平準化対策だから、ということで終わらせる、ということは失礼ではないのか」、佐々木隆博・衆院議員(北海道)は「今、消費増税がされるという中、零細の小売店がやめていくという現象が起きている。国内で、企業の系列化が起きているのではないか、零細はどうでもいいという流れが起きているのではないかと、たいへん危惧している」――などの発言があった。

これらタクシー業界と議連の発言を受け、福田・国交官房審議官は「重く受け止めている。何故そうなったかについては、消費者庁はじめ関係省庁の皆さんの意見を賜り、消費者庁、経産省、内閣府財政担当の意見を踏まえ、自動車局において、石井(前)大臣の了承を得て対応を取った。JR北海道との違いの指摘もいただいているが、全国48地域にわたる過去に例がない最大規模模の(本運賃)改定となるので、その影響も省庁から指摘されていることから、本日出された意見を尊重しながら対応したい。時期について今、明言することはご容赦いただきたいが、可能な対応を早期に図りたい」と述べた。

辻元清美・衆院議員(議連幹事長、大阪)は「長々と話されたが、何を言っているのかわからない。多分、国交省としても、事情はわかっているが、いろいろなところから言われ、仕方がないからやってしまったが、先が見えないし、国交省だけでは決められない、という感じに聞こえる。消費者庁に聞きたいが、消費税上がってからの方が、すでに消費が落ち込む可能性がある。混乱する可能性もある。そのときに運賃改定をした方が、余計批判を浴びる可能性がある。先行きはわからない。この半年、どう経済が動いていくのか。そうすると、半年後、1年後まで運賃改定ができないということになれば、先がさっぱりわからなくなってしまう。消費増税後に本運賃を改定したら、その方が問題が起こるという意見はでなかったのか」と質問。

高島・消費者庁審議官は「意見がでたのは、3府省からで、消費者庁の中で、消費税が改定されてから本運賃改定する方が混乱が起こるというような議論は特にしていない」と答えた。辻元議員は「消費税改定後、1、2か月で本運賃改定をした方がいいということか」と質問。高島審議官は「それは国交省の判断で、我われは国交省に判断を仰ぐ立場にある」と答えた。

この回答に会場からヤジが飛び、広田・事務局長は行政に「責任のなすりあいをしているような議論は承服できない」とたしなめた。

他の議員からは「48地域から申請がでているというのは、それだけ業界が悲鳴をあげているということではないのか。業界として、ここで上げないと無理だという判断が48地域という数字につながっているとすると、今回の判断は、いったい誰のための判断なのか、消費者庁も考えてほしい。結果的に事業者に万が一のことがあったとき、困るのは消費者だ。総合的にどうすることが、市民の生活を守るために必要なのか、判断しないと、とんでもない判断ミスになる。再度、持ち帰って判断してほしい」との要望が出た。

これに対し、高島審議官は「消費者のために仕事をしなければならないので、(今回の判断が)かえって判断ミスになるかもしれないということを踏まえて考えたい」との意向を示した。福田審議官は「できるかぎり、早期の対応を検討していきたい」と回答するにとどまった。

坂本克己・全タク連最高顧問は「こんなことは初めてだ。役所の話を聞くと、なおさらイライラする。話にならない。今後、自民、公明議連がどのような発言をするのか、情報を共有して、コアなメンバーでやっていかなければならない。本日は案の定、消化不良だ。会長を中心にコアなメンバーで、役所の責任ある人にもでてもらい、やりましょうや。55年、タクシーにかかわってきたが、こんな情けないことは初めてだ。地域を守り、誇りをもった運転者たちに働き方改革でそれなりに良い暮らしができる原資にしようということだ。世界に冠たるタクシーをつくったのは運転者だ。誰かが何かおかしい。日本の政府は」などと発言した。

増子会長は「国交省は言葉だけではダメで、より具体的にしっかりとやっていただかなければいけない。いちばん心配しているのは、運賃改定をやりましょう、しかし、そのバーターとしてライドシェアの一部解禁ということがあったら、とんでもない話だ。そこは我われも重く受け止め、役所も重く受け止めていかねばならない。自民、公明議連とは長い付き合いで、我われと逆の方向に行くとは思えない。坂本会長からの提案があった通り、しっかりと超党派で連携し、近く業界の皆さんも含めてやっていきたい。場合によっては、国交省の法案、消費者関連法案にも何らかの影響がでるかもしれない。そのことを踏まえ、重く受け止め、何らかを図りたいということなら、速やかに具体的に方向性を示すよう、良い着地点を見つけたい」と語気を強めた。

写真:上=タクシー政策議員連盟緊急臨時総会(9月24日)の模様。正面の議連議員に発言しているのは北海道の今井一彦氏(右中央)、下=タクシー政策議員連盟緊急臨時総会(9月24日)で本運賃改定延期の経緯を説明する高島竜祐・消費者庁審議官