特定地域協議会への要望
「もう少し、熱をもって語ってほしい」
「メリットとデメリットがある」

2019年9月1日付・第467/172号

熊和子・元МBSラジオ局長
浅井敏彦・大阪府都市整備部交通道路室都市交通課長

【大阪】第1回北摂交通圏タクシー特定地域協議会と第2回河北交圏タクシー特定地域協議会に出席したタクシー業界外の委員から、以下のような意見があった。

■熊和子・元МBSラジオ局長

安部教授が大阪5交通圏特定地域協議会の会長を務めている頃から委員を務めているが、この問題の必要度や重要度を認識されている事業者さんもいれば、そうでない事業者さんもいるのかな、と感じる。どうすればタクシー業界が良くなるか、という話を、もう少し熱をもって語ってほしい。

ある意味、国交省から下りた政策を皆さんが一生懸命考えているのだが、あえて、一歩進めば、国交省が考えている方針が本当に自分たちの事業に合っているのか、この方向で良いのか、という疑問が呈されても別に構わない思う。本当にタクシーを必要としている人のところにタクシーを届けるという目線で、タクシーは公共交通という大前提に立てば、タクシーが不足するエリアと、供給過剰になっている街中のエリアとが、あまりバランス良く考えられていないようだ。利用者からは、減車がピンと来ない人がたくさんいるんだと。そこで、利用者も共感するように、ここでやっていることが、利用者に伝わるような取り組みになっているのか、どうか。

私は行政がもっと加わり、自分たちの町がどうなっていくのか、ということを考えたとき、人の移動手段の確保は大きく、タクシーが対応できるのかという観点は、とても大事だと思ってる。そのような論議をすべきだと思っている。この2、3年で、いろいろな状況が変わってきているような気がする。国交省から一つの方針が出て、論議を重ねて実施する際には、時間の経過とともにズレが生じてくるので、実態に合わせた修正がどこまでできるのかだと思う。

■浅井敏彦・大阪府都市整備部交通道路室都市交通課長

今回の特措法が平成26年にできたとき、規制を強化してタクシー運転者の労働環境を守ろうということが法の趣旨だった。タクシー運転者の労働環境を良くしていこうというゴールは同じだが、そのアプローチの仕方が異なり、規制を強化すべきではないと考えている。規制を緩和して、より多くのお客様に乗っていただいた結果、労働環境を良くしていくというスタンスなので特措法そのものに対して反対している。

今回、特定地域計画を作成するということになっていた。そこには、適正化と活性化の両輪の議論があり、適正化で規制強化と減車には反対だが、かたや活性化でUDタクシーや配車アプリ、マタニティタクシーなど府民の利用者により良いサービスを提供することは、ひじょうにありがたい。いわゆるメリットとデメリットがあるので、あえて棄権した。

松井知事と橋下市長の時代、府と市で特区申請を行った。そこでは、接遇面、安全面で一定の担保がとれるところに限り、そのような事業者に対しては規制緩和をすべきという提案を行った。一定の水準を満たした事業者に対しては、増車や運賃料金に幅をもたせたりできるようにしようということだった。その後、国の方では、具体的な動きはないが、取り下げたということではない。

写真:上=熊和子・元МBSラジオ局長、下=浅井敏彦・大阪府都市整備部交通道路室都市交通課長