第1回北摂交通圏タクシー特定地域協議会と
第2回河北交圏タクシー特定地域協議会 原案通り可決
2019年9月1日付・第467/172号
【大阪】第1回北摂交通圏タクシー特定地域協議会と第2回河北交圏タクシー特定地域協議会が8月28日、大阪市天王寺区の「ホテルアウィーナ大阪」で開かれた。
第1回北摂交通圏タクシー特定地域協議会では、委任状を含む102人が出席し、規定を満たす過半数の出席者で会議は成立した。西村弘(関西大学社会安全学部教授)会長は「特定地域協議会では、事業者や運転者らが減車を論議すると独禁法違反になるが、タクシーに関しては、自治体、消費者を交え論議していいことになっている。活性化については、利用者、自治体が集まっており、どこにニーズがあるかなど、意見交換している」と開催趣旨を説明。新たに今回から東京・日本交通が参画したことが報告された。協議会設置期限は令和4年6月30日。北摂交通圏特定地域協議会要綱案には、大手を90両以上、中小を90両未満とすることなどが盛り込まれたが、この中で、分科会の設置に触れた第7条に対し、西村会長は「分科会会長には協議会会長となるとしているのはどうか。他地域では複数の学識経験者が分担している」などと問題提起したが、これに同調する出席者はおらず、全構成員が賛成し、承認された。採択の際、大阪府は棄権し、採択に加わらなかった。事業者構成員の賛成内訳は、北摂交通圏786両(うち個人タクシー73両)のうち622両が賛成した。運輸局が示した地域車両数618両、13・7%。この乖離の解消の他、北摂交通圏に即した地域計画の策定に向け動き出した。
論議は事業者、運転者から特段の意見もなく、淡々と推移した感があったことなどから、「その他構成員」の熊和子・元毎日放送ラジオ局長が「地域計画策定がこれから行われようとする中、提出された資料のみで判断するのは、業界外の者にとっては難しい。特定地域で先行する大阪市域交通圏のケースなどを示し、どのやり方に実効性があるのか。経済状況が悪化する中、実質的に車両が余っていることなど、特定地域に指定する効果を教えてほしい」と問題提起。これに対し、井田信雄・事務局長(大タ協専務理事)は全国的に特定地域ではフォローアップが進んでおり、乖離率は縮小傾向にあることや活性化に関しては、アプリ配車やキャッシュレス化、マタニティタクシー、乗り合いタクシー、便利タクシーなど多様化するニーズに答えているとした。また、インバウンド対応として、多言語化にも取組んでいるなどとした。
これに対し、熊氏は「もう少し、丁寧な報告が必要ではないか。会議の形式だけで進行しようとしている。もっと現場の事業者や運転者の意見を取り入れたらどうか」などと反論した。オブザーバーの藤原幸嗣・近運局旅客第二課長は「本年中にフォローアップ調査を行う。その内容を報告したい」と理解を求めた。
第2回河北交通圏特定地域協議会では、地域計画案が示され、説明の後、若干の意見交換が行われ、採択に入り、事業者構成員は844両中645両が賛成、棄権・欠席・非構成員は199両だったが、賛成率76・42%で規定の3分の2を上回り賛成、自治体では北摂交通圏同様、大阪府が棄権に回った他は、出席した全構成員が賛成、了承された。タクシー事業者では大桐グループが棄権に回った。タクシー事業者は81両以上が大手、それ未満を中小としたことで、それぞれ422両ずつになった。区分別の採択では大手が全社賛成、中小は223両が賛成で、かろうじて賛成基準の過半数を上回り、賛成となった。
井田・事務局長は、事業計画案を説明する中で、営収は平成14年以降、21年を底に増減を繰り返し、平成29年は増加傾向にある。総営収の減少は、労働力不足に原因がある他、運転者の若年層が入ってこず、高齢化による減少の歯止めが喫緊の課題になっている。とする一方、活性化策として事前確定運賃、マース、防災協力、UD車両の普及など20項目に取組むことなどを報告した。これに絡み、採択を棄権した大阪府は「万博やインバウンド対応などタクシーのサービス向上が一層求められている中での適正化は賛成できないが、防災協力など活性化への取り組みは評価できる」と理由を説明した。
削減計画については、運輸局が示した適正化の数値から19・8%の乖離があり、このまま実施するには事業者への影響が大きいことから、10~13%の削減が提案され、特段の反対はなかった。
抹消登録も含む全日制限、曜日別制限など供給力削減計画等については後日、書面協議により諮られることが了承された。
写真:上中央は会議の冒頭であいさつする西村弘・特定地域協議会会長