第一交通産業グループ沖縄15周年記念祝賀会
黒土・創業者会長「沖縄を第二のハワイに」

2019年9月1日付・第467/172号

演台上であいさつを続ける黒土始・創業者会長
各関係者の前に置かれた泡盛樽を鏡わりして沖縄の方言で「カリー」と乾杯の音頭

【沖縄】第一交通産業グループ沖縄15周年記念祝賀会が8月23日、那覇市の「那覇ハーバービューホテル」で開かれた。沖縄県の各界から約350人が出席した。第一交通産業グループが沖縄に進出したのは平成16年4月18日で、最初に開業したのがバス事業だった。それから15年、同グループはタクシー事業、不動産事業、ビル賃貸業、高速船定期航路事業の実現へと発展してきた。

冒頭、黒土始・第一交通産業株式会社創業者会長は「今から40年ほど前、沖縄に何か、魅力を感じた。当時、沖縄は荷物タクシーと言って、皆さんご存じのようなタクシーが走っていた。タクシーは沖縄にはなくてはならない産業だと思った。そこで、石垣島に第一回目の旗を揚げた。ところが、石垣島は遠く、いつもお伺いすることもできないので、地元の方に譲った。もっぱら本土の経営に努力した。そうするうちタクシーも増え、数百両のタクシーになった。地域公共交通の一助となるタクシーの責任は、ひじょうに重たい。北九州で、どうしたら利用者の期待に答えられるか。どうしたら社会に奉仕できるか。企業というのは、社会に奉仕することによって得られるのが利益だ。タクシーは労働集約産業なので、地域社会との接触が、すべての会社のシンボルになると考え、先ほど唱和していただいた会社の社歌を作った。社歌を作って、従業員と経営との皆が一つになっていこうではないか、これは一つの会社の憲法だ。これを現場では常にテレビで流している。本社でも、週に一回、皆で歌いながら、お客様があってこそ、企業が成り立つ、ということで、物を売るのではなく、物をいただくのだから、そのようなことで社歌ができた。この社歌に合わせ、心を合わせて今日に至ったのだが、会社の社是と社歌の大きな2本の柱で皆さんに訴え続けている。私も満で97歳になり、社会に奉仕している。沖縄で15周年を迎えた。沖縄本島でバスがスタートしたのが15年前。バスがスタートすることで、初めて社会に知られる産業になるということで、前進を重ねてきた。皆さん、ご存じのように、沖縄のバスは情けないものだった。赤さびで前が見えないようなものだった。そうした中、私が率先してバスに乗り、路線を開拓してきた。ひじょうに社歌・社是を大切にして、沖縄の従業員とじかに話し合いをしたところ、気持ちを理解していただき、今日に至っている。稲嶺さんが県知事のとき、バスの車庫の件で、ひじょうにお骨折りいただいた。バス・タクシーだけでは社会に貢献できない、ということで、本社同様、不動産事業に進出した。さいわい、タクシーは順調に伸びている。それから、分譲マンション、分譲住宅事業を行った。地元の方がたのご協力とご理解があった。現在では、タクシー、バス、分譲住宅、賃貸住宅、賃貸ビル事業を行っている。全国でも珍しい、バスターミナルを作ることになった。これも、我われが真面目に事業に取り組んでいるのを、県に認めていただき、これならやれるのではないかと、県に膨大な資金を出してもらった。沖縄バス・ターミナルは、全国でも有数だというお話をいただいた。当社の田中社長が、バスが基本なので、お礼をしたらどうかと、皆さんには本当にお世話になり、感謝の言葉を申し上げたい。今後、バスだけでなく、高速船を用意して、皆さんの足にしていただこうということで、今日に至っている。地域のお役に立てることで、一心にやっている姿が利益に結び付いたのだと思っている。沖縄は、良い意味で、世界の観光地として上昇気流にある。皆さんの努力次第で、第二のハワイが実現できると思っているが、良い意見を持っている人がいなくて残念に思っている。お互い、なかったことにして、ゼロからのスタートで、今のゴタゴタを早く解決して、第二のハワイを早く作ってください。地理的にも、皆さんの能力からも、米国のハワイに負けない土壌を持っている。私の会社も、皆さんとともに頑張っていきたい。今日は皆さんに、お礼をお願いを申し上げた」と述べた。

来賓あいさつで、富川盛武・沖縄県副知事は「第一交通産業グループにおかれては、平成16年から沖縄県民の足である路線バス事業を開始され、現在では、バス事業に加え、タクシー事業や那覇~本部間を結ぶ高速艇の運行など、県民及び観光客の移動手段の確保に尽力していただいている。これまでの貴グループによる黒土会長をはじめ、役員、社員の皆さんに沖縄県民を代表し、深く感謝を申し上げたい。沖縄県では、慢性的な交通渋滞の解消に向け、ノンステップバスや多言語対応機能機器の導入。新たなバスターミナルの開業によるモノレールとの円滑な乗り換えなど、公共交通の利用環境の改善を図ってきた。また、国道58号線を中心とする、那覇からコザまでの区間に定時制、速達性が高く、多頻度で運行する基幹バスシステムの導入が決定されており、今後も公共交通の活性化に向けた取り組みを着実に推進していきたい。このような中、近年、路線バス運転者の不足が深刻になってるが、貴社グループでは、自社で運転者の確保に係る取り組みを実施されていると伺っている。県としても、貴グループをはじめ、事業者の皆さん、関係機関と連携し、取り組んでいくので、公共交通の活性化に向け、運転者確保の取り組みとともに県民の足である路線バスの維持確保、モノレールの建設等について、引き続き、ご協力いただくようお願いしたい」と述べた。

稲嶺恵一・株式会社りゅうせき参与(元沖縄県知事)は「光陰矢の如しは昔、使われた言葉だが、私は、ここに参加させていただき、つくづくこの言葉が頭に浮かんだ。もう15年経ったのかと。15年前、黒土会長、田中社長が沖縄においでになり、当時、沖縄のバス業界は、経営上の問題とモノレールとの競合問題等、ひじょうに多くの難しい問題を抱えていた。それを、ぜひ沖縄で、積極的にバス事業を推進したいというお話があったので、たいへんうれしい面もあったが、心配の面もあった。本土と沖縄では状況が違う。この中で、果たして、うまくいくのだろうか、という心配もあった。しかし、先ほどの社歌の中にあった、いちばん重要な点、信頼、信用、これをひじょうに感じ、経営をはじめた結果、15年間、バス事業のみならず、タクシー事業、あるいは不動産事業、海上輸送までなされている、というkとで、順調に進んでいる。黒土会長は、実はカジマヤ―だ。カジマヤ―は普通、お祝いをして、あとはのんびりだ。ところが、先ほど、壇上に上がり、心から切々と皆さんに対して、お祝いとお願いを述べられた。ということは、いかに黒土会長が、沖縄に対する強い思いを持っていたか、ということを、あらためて感じたところだ。これからもお元気で、経営、ご健康に留意されて頑張ってほしい。第一交通産業さんは、沖縄に進出する前、かなりいろいろなことを調査していた。実は、那覇交通の初代社長は、私といすず自動車時代、席を並べていた人で、この人を田中社長がスカウトして、沖縄の社長をさせていたことがある。そのように、十分に沖縄の状況を知りながら、経営を進めていけたということが、事前の調査の上にある。第一交通産業様は、北は北海道から南は沖縄まで、さまざまな事業を展開している。しかも、順調に推移している。ぜひ、これからも発展することを願うとともに、本日、ここで15周年のお祝いを皆さんとともにできることは、たいへんうれしく思っている」と語った。

吉住啓作・沖縄総合事務局長は「バス事業においてはバス・ロケーションシステムの先行投入、車内WiHiの導入など利便性向上と利用促進に取り組んできた。また昨年10月に開業された新バスターミナルにおいても、デジタルサイネージモニターを採用した多言語による運行案内を行っている。タクシー事業においても、ママサポートタクシー、スマホ・アプリ配車、決済サービス等、利便性の向上を多岐に進めてきた。このように貴グループの沖縄における15年の歩みは、県民の足として欠くことのできない公共交通の発展、利用者の利便性の向上の歴史でもある。業界の模範として、各種の取り組みに率先垂範してきたことは、これは沖縄のグループ事業所のみならず、とりわけ創業者の黒土会長の沖縄へのなみなみならぬ情熱とご努力のたまものと心から敬意を表する次第だ。沖縄への入域観光客数がようやく1000万人に達するなど、沖縄の公共交通が新たなステージを迎えたと言える中、貴グループにおいては、新たな取り組みを進めている。まず、本園4月、新たな交通サービスとして、那覇~本部間を結ぶ高速船の運行をはじめたが、これは観光客の利便性向上、北部地域の振興にも資するものだ。運輸事業において、もっとも重要である輸送の安全の向上を図るため、昨年9月に道路交通安全に関する国際規格であるISO39001を取得された。これらの取り組みは県内運輸事業者に新たな刺激を与え、サービス、安全水準の向上に大きく繋がっていくものと確信している。今後とも貴グループにおかれては、輸送の安全と事故防止の徹底を図り、利便性の向上と利用促進を図るなど、公共交通機関としての役割を十分に発揮されることを期待している。喫緊の課題である運転者不足の問題、クルーズ船と高速船利用者にとって重要な2次交通の問題等についても、業界の中心となり、積極的に取り組まれることを、切にお願いしたい。総合事務局としても、沖縄の公共交通の発展のため、さまざまな施策を推進していく所存だ」と理解と協力を求めた。

田中亮一郎・第一交通産業社長は閉会あいさつで、「15年、あっという間に経った。でも、いろんなことがあった。それも、皆さんが私どもの車両を利用していただき、いろんなご意見をいただいた中で、改善を積み重ねてきたからだと思っている。また、これから20周年、30周年となると思うが、私どもは止まらず、毎回前進して改善していく。実は、15年前に来たときから、モニター会議というのをやっており、3カ月に1回、今回は明日あるが、もう55回目になる。その中で、具体的なバス・タクシーの利用方法などの話を伺いながら、いろいろと改善している。ぜひ、今後も皆さんのご意見に耳を傾けながら、沖縄の地で皆さんの信頼と信用を長く勝ち取りれるように頑張っていきいたい」と述べた。

写真:上=演台上であいさつを続ける黒土始・創業者会長、下=各関係者の前に置かれた泡盛樽を鏡わりして沖縄の方言で「カリー」と乾杯の音頭