西日本豪雨 タクシー業界 各地に被害
被害甚大の広島で 運転者2人が消息不明
9日 分かっただけで80両冠水 3社浸水

2018年7月10日

【全国】7月4日~8日にかけて西日本各地を襲った集中豪雨(西日本豪雨)で、土砂崩れや川が決壊、土石流が発生、多数の住宅が冠水したり、流されたりした。

タクシー業界の被害状況に関する本紙の取材によると、9日午後10時現在で46人と最も多い犠牲者を出している広島県では、これまでに2人の運転者が不明。タクシー80両が冠水、3事業所が床下浸水に遭った。

広島県タクシー協会では9日朝、会員218事業者にファクスで被害状況調査依頼書を送信。夕方までに81社が回答した内容に基づく情報だが、今後、被災状況が明らかになる過程で、さらに被害が広がる可能性がある。

それによると、広島市安佐北区、安芸郡坂町、呉市の計80両が冠水または浸水、3事業所が床下浸水の被害に遭った。集計中のため、80両を保有する事業者名は明らかにしていない。

また、今なお運転者と連絡が取れず、消息不明としている事業者が、広島市西区、呉市でそれぞれ1社ある。警察、消防等による捜索が続けられているが、本稿出稿時までには、発見されていない。

広島市西区にある事業者に所属する運転者は営業中だったが、空車の状態で被災したことまでがわかっている。もう1社は呉市の40両規模の会社で、営業中のできごとだったのか、自宅で被災したのかは今のところ不明。この会社が保有するすべての車両となる40両が冠水した。このうち、全損の車両は2両におよんでいる。

広島市、呉市、安芸郡、東広島市などの被害甚大地区では停電や通信機の冠水等、故障している他、道路が寸断されるなど人員不足のためファクスの着信が確認されていない事業者もある。広タ協では、「現地に行かなければ本当の被害状況は分からないが、ファクスを見ていただいた事業者からの回答集計だけでも深刻な状況がわかる」としており、本稿に掲載された数字は全被災の一部という認識を示している。

この他の地域では、京都府亀岡市で「5日、車で自宅を出たあと行方がわからなくなっていた京都府亀岡市の52歳の女性が、大阪府能勢町の川で見つかり、死亡が確認された」(NHKニュースより)との報道があったが、この女性は元京都タクシー運転者の娘さんとわかった。

また、福岡県筑豊地区では、タクシー2両が川の増水で道路に溢れでた濁流に流されそうになったが、運転者はそれぞれ自力で脱出したという情報が入っている。同地区では、運転者の自宅が土石流に流されている。