ジャスタビの東京進出 誤算か
現在、登録は男性ドライバー1人だけ
委託業務で時給1500円がネック?

2017年3月6日

【東京】ジャスタビは当初「3月4日まで」としていた東京地区のドライバー登録相談会を1週間延長し、7回開催を追加した。

ジャスタビが運営し登録ドライバーとレンタカー利用者をマッチングするウェブサイトで現在、東京地区の1次募集分で登録、アップされているドライバーは「中国黒竜江省生まれ、来日24年間、貿易の仕事関係、中国大連駐在3年、上海2年」、英語、日本語、中国語を話せるというプロフィールが書き込まれた男性1人だけ。この男性が希望している報酬は1日8時間1万2000円で、スケジュールでは3月12日から月末までの間、マッチングに応じられるとしている。

しかし、ほぼ同時期に登録ドライバー相談会を行った札幌では9~13人、ドライバー登録開始から間もなく1年が経過する沖縄では27~30人(いずれも3月中)がマッチングに応じることが可能として顔写真付・プロフィールをアップしている安定性があるのに対し、大都会・東京では今のところ、供給が全く追いついていないというのが実態だ。

それを裏付けるかのように、2月25日から3月4日までドライバー1次募集登録説明会が東京都新宿区のジャスタビ本社で計7回開催されたが、どの回も10人の定員に満たないまま行われたもようだ。

東京地区で登録ドライバーが1人しかおらず、登録相談会が1週間延長されたのは、密かに募集を進めようとしたことからプレスリリースが行われず、周知が不十分となったことのほか、都内での慢性的な人材不足も影響していると思われる。

また、都内のコンビニエンスストアの深夜勤務や宅配バイトでは時給1200円~1600円が通り相場となっている現在、登録ドライバーの時給目安は1500円程度と業務の割に低額に設定されている。このことが最賃時給932円の東京の風土にマッチしていないとも考えられる。

ジャスタビの登録ドライバー業務は「出来高払い」「業務委託」のため、レンタカー利用者によって毎回異なるクルマとなり、安全運転に努めるほか、語学力が求められ、観光案内も行う。都内では「業務内容に比べ並以下」とも言える(一例として掲出されている)時給1500円では、「いつお呼びがかかるか分からず、相手も誰だか分からない」という状況では登録しかねるというのなら、分からないでもない。ジャスタビの利用規約(ドライバーにも適用)によると、両者は交渉時に断ることもできるようだが、このシステムに都内の「穴場」を知り尽くした〝江戸っ子〟が魅力を感じるか、どうか。

一方、タクシーでは、都内で稼ぐ隔勤運転者の平均月額賃金は35万円以上という情報がある。例えば、この月額賃金35万円を、運転時間外の点呼や点検、休憩時間も入れた拘束時間限度21時間×稼働12回=252時間で割ると、時給は約1390円。運転時間だけで計算すれば、時給は1600円以上に上昇する。

ジャスタビは登録ドライバーに「これは委託業務」と説明している。なので、ドライバーが稼ぐには優れた営業力が必要となってくる。東京進出を「鳴り物入り」にしなかったのは、敵対すると思われるバス・タクシー業界への「配慮」があったからかもしれない。