国家戦略特区法一部改正(案)、4月28日衆院本会議通過
附帯決議に過疎地自家用有償観光等運送事業に4項目盛り込む
山本・衆院地方創生に関する特別委員長が北九州タク協会総会で報告

2016年5月2日

【北九州】衆院議員の山本幸三氏(自民)は4月28日、北九州市小倉北区の「リーガロイヤルホテル小倉」で行われた平成28年度北九州タクシー協会通常総会来賓あいさつで、同日衆院本会議で行われた国家戦略特区法一部改正(案)採択で、衆院附帯決議が付されたことを報告した。山本氏は衆議院で地方創生に関する特別委員会委員長を務める。また「三木谷氏は必ず阻止するので、ご安心いただきたい」と発言した。

国家戦略特区法一部改正(案)の衆院本会議・附帯決議(過疎地自家用有償運送に係る部分)はつぎの通り。

※1~3は農地について

4.国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業については、あくまでバス・タクシーが極端に不足している地域における観光等の移動の利便性の確保が目的であり、同制度の全国での実施や、いわゆるライドシェア導入は認めない。

5.自家用自動車による有償運送において、観光客等を対象にする場合には、運転者に第2種運転免許の取得者をあてるなど、安全の確保に万全を期すること。あわせて、運転者や乗客が犯罪に巻き込まれないよう、タクシー事業者に準じた対策を講ずること。

6.過疎地等において、移動手段の確保を図るにあたっては、自家用自動車による有償運送は、あくまで特例であることに鑑み、バス・タクシー等の一般旅客自動車運送事業の振興や、それらへの公的補助、業務委託のバス・タクシー等の活用もあわせて取り組むこと。

7.国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業は、あくまで非営利を前提に特例として認められる点に鑑み、バス・タクシー等の既存の有償運送事業者で対応可能な場合はこれを認めない。また事業の実施にあたっては、バス・タクシー等の既存の有償運送事業者との協議を十分に行うべく進めること。さらに自家用自動車による有償運送が、いわゆる白タク行為となることを防ぐ観点から、事実上の営利事業とならないよう、安全対策を講ずること。

北九州タクシー協会通常総会来賓あいさつで、山本氏は「今、熊本地震でたいへんなことになっている。心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。北九州タクシー協会としても、いろいろな努力をしていることに敬意と感謝を申し上げます」と述べた。

その上で、「タクシー事業の喫緊の問題としては、ウーバーの問題がある。これについて、私は推しているのではないかと誤解されているようだが、そのことを申し上げたい。最初にウーバーが出てきたときに、インターネットを使ってそのようなタクシー事業を行う。これはひじょうに面白いのではないかと思った。

そうした事業が日本のタクシーで伸びていくのは、消費者にとって役に立つと思うが、同時にルールに従ってやっていただくのが大事だ。ちゃんとしたタクシー、ハイヤーの運転者にやっていただくというのが前提だ。

そのウーバーが、福岡で白タクのようなことを始めた。それを見たとき、私はまったく別問題だ、とんでもないと思い、ただちにこれを止めさせたいと声を上げ、当時は運輸局も押せ押せだったが、それはダメだ。必要なら法律をつくる、と言い、止めさせることになった。

インターネットの利用は、ウーバーのこともあるが、私は観光立国調査会長をやっており、同じようにエア・ビー・アンド・ビーという民泊事業をやっているということもある。

これは、海外からインターネットでやると、単に仲介しているだけだ。事業でやっているわけではないと言い、行政当局の指摘を逃れようとする。これはきちんとしなければならないということで、我われの観光立国調査会で、日本の法制度に基づき、それを緩和するという方法でやるというルール作りをしている。

法律上、海外の事業者に対し罰則をかけるのは難しいところがあるが、しかし、向こうはいろいろな通信技術を使ってやっているので、平気でそのようなことをやる。そこで、インターネット事業であるエア・ビー・アンド・ビーやウーバーに対し、そのようなことを考えていかねばならないと考えている。

白タク行為にあたるライドシェアなどはとんでもない。三木谷氏は必ず阻止するので、ご安心いただきたい。それに関連し、実は本日、衆院本会議で国家戦略特区一部改正法を仕上げて、委員長報告をしてきた。

この中で、過疎地でタクシー会社もない、バス会社もないというところは、一部ですでに住民のために個人所有の自家用車で送迎できるということになっているが、これを観光客用に広げようということが国家戦略特区法(案)に含められている。

これは、ヘタをするとライドシェアに続くということがあり、委員会でもひじょうに厳しい議論が行われた。その結果を、ぜひ皆さんに報告したい。将来的にライドシェアに行かないため、私たちはこの法案に対し、附帯決議を付した。

これらの附帯決議をしかりと付したので、決しておかしなことにならないように運用を監視していきたい。これからも北九州に観光客が外国から来てほしい。そのために皆さんにぜひ、観光客によい印象をもってもらえるよう、いろいろと観光地を案内して喜んでももらえる方向で頑張っていただきたい。

私たちも、重要な役割を認識し、白タク行為に至るようにことは絶対に認めないということで頑張って参りたい」と報告した。