無念! 大阪 日本城タクシー交通空白地の網野取り下げ
昨年解決済みの事故、なぜか今ごろ“救護義務違反”で浮上
坂本社長、「一点の曇りもないのが運輸事業者」と潔く
2016年2月16日
【京都】昨年11月12日付で交通空白地の京丹後市網野町への区域拡張と「網野タクシー」という名称で営業所新設申請をしていた日本城タクシー(坂本篤紀社長)は2月15日、同申請を取り下げた。
申請取り下げ理由は、昨年8月9日ごろに大阪市内で発生したとされる救護義務違反があったとされるため。認可目前と見られていた1月18日になって、近畿運輸局から1月10日付で同違反の公安通報があったことが坂本社長に知らされた。
関係者の中には、この知らせに「なぜ今ごろになって公安通報してくるのか」と、京丹後市丹後町のNPO法人とウーバーが協力して公共交通空白地有償運送事業を水面下で調整を図っていた時期と重ね合わせるなど、穿った見方をする者もいた。
すでに当該運転者と被害者とされる男性とは、昨年の早い段階に示談が成立しているというのだ。しかし、坂本社長は、同違反は欠格事由の一つであることから、このまま監査に入られるなどして長引いた場合、今回の区域拡張と営業所新設認可に影響があると判断した。
また、この救護義務違反とされる件については現在もなお不確定であるため、同社は一旦は当該運転者に解雇勧告をしたが、労働基準監督署から「不確定な事由で解雇勧告に値しない」とされ、撤回している。
坂本社長は今回、衝撃的とも言える申請取り下げにあたり15日、つぎのように無念の心境を吐露した。
「一点の曇りもないのが運輸事業者。今回、このような結果となったが、ライドシェアとは異なり、安全義務を果たすのは当然。網野タクシー営業所の新設申請については、京都の志ある事業者に継承していただくことになった。
これまで『大阪の事業者が京丹後に進出する』と言われてきたが、今度は京都府タクシー協会の副会長がライドシェアに対抗するために責任を果たしていただくことになる。地元京都に根を張る2社(高速タクシー、近畿自動車)が京丹後に営業所を持つことになった。これは大阪タクシー協会の一理事として、大いに見習うべき点だ。
『網野タクシー』がライドシェアとの競り合いに勝ち、力を付けて大きくなり、一町の営業所から独立していける規模になれるよう応援していきたい」