福岡・大阪の公聴会で上野文雄 審議会会長に聞く
20万署名は青木MK社長の発言の裏付
「憲法違反」署名趣旨はMKの主張
2015年9月14日付・第342号
【福岡・大阪】運輸審議会の上野文雄会長は福岡・大阪での特定地域指定に関する公聴会終了後、記者の質問に答えた。
福岡で上野文雄 審議会会長に聞く
――MKが特定地域指定に異議を唱えたことで開催が決まった2回目の公聴会となった
神戸市域交通圏の公聴会に続き、MKさんを中心にいろいろな意見が出たということは貴重だ。賛成の人からもいろいろな意見があった。MKさんの意見だけを取り上げるのではなく、いままでいろいろな実情を聞いているので、総合的に考えながら審議することになる。
――神戸ではMKから反対4万署名が提出されたが特定指定となった
神戸の公聴会で4万人の反対署名が提出されたが、その署名用紙の趣旨に「憲法違反」という記述があり、間違いなくMKさんがMKさんの意見に基づき署名を集めたものだろうと推定している。従って、そのような事実を前提に各委員がどう考えるかだ。他のいろいろな意見も聞いているが、その上での総合的判断で特定地域指定が必要と大臣に答申した。
――神戸MKの青木義明社長は、改正タクシー特措法が議員立法であることから、内閣法制局の審査を受けていないことを「問題だ」とした。一方、彼らが指摘する内閣法制局の審査を通った旧法のタクシー特措法では、法に基づき適正車両数が示されたにも関わらず、それには従わなかった。他方から「任意なので強制力がなかったからだ」とする指摘が出ている。閣法であっても「自分らの趣旨に反すれば従わない」姿勢が受け取れるが、こうした発言の矛盾をどう捉えるか
今回の改正タクシー特措法もそうだが、国会を通過して成立した法律の条文に運輸審議会に諮問すると書いてあるが、それに基づき審議している。その意味では旧タクシー特措法のような閣法(内閣法制局が審査)と議員立法(衆法と参法)があるにしても、議員の皆さんが審議して国会を通ってきたということを重要なこととして大臣から諮問を受けたという事実だと思っている。ただ、議員立法だから法制局を通過していないか、といえばそうではなく、改正タクシー特措法は議員立法によるもので議員法制局(衆院法制局)の協力を経て通ってきたものと認識している。
大阪で上野文雄 審議会会長に聞く
――18人の公述書のうち賛成・反対の人数は?
提出された公述書では12人が賛成で、6人が反対だった。
――事前に提出された公述書から若干外れたような発言があったようだ
概ね、事前にいただいた公述書に沿った発言だと思っているが、そこから大きく外れた発言があった場合には、公述している間に私どもから一言申し上げることがある。きょうの場合は言葉の流れから出てきているので、本当に公述に対して真剣に述べているか、それが適切かということを判断する。今回の場合はその範囲内だった。
――審議するポイントは?
個別の法律で審議会に諮問するように書かれている。それに従って私たちが判断している。基本的には法律の条文に従って判断する。
――大阪市域交通圏の公述書提出は18人と他地域よりも多かった。それだけ関心が高かったと受け取ったのか
きょうの陳述では、公述書を基本にしながら、ひじょうに熱心に考えを言われたという感想は持っている。
――今月は従来よりも多く、3地域で審議会を開くが、その分結論まで時間がかかるという受け取り方でいいか
最終的に各地区ごとに判断する。法律自体はタクシー特措法に基づき判断することになる。そのことにより全体的に長引くのか、現時点では判断できない。意図的に結論を延ばすわけにはいかないので、審議をきちんとしながら迅速に結論を出さなければいけないと思っている。
――一部事業者から多数の署名が提出された。過去の運輸審議会で、このようなことはあったのか
資料が残っている範囲ではなかった。
――署名の趣旨は憲法違反ということなのだろうが、法律に則った運輸審議会に反対署名を提出するということは、どのような意味があるのかと思うか
審議会としては、まず青木社長の公述を裏付けるための一つの証拠として提出されたのだと思っている。昨日の福岡、きょうの大阪の分は持ち帰って確認しなければならないが、結論が出されている神戸ではそう理解している。この署名はMKさんが行ったもので、MKさんの主張を支持する人たちが署名したという点で、私たちは一致している。それに基づき皆さんがどう判断したかは最後になって出てくる。神戸の場合は署名を確認しながら検討したが、最終的にはタクシー特措法に基づき指定は妥当と判断した。
神戸は4万枚だったので、すべてを確認するのは無理だったと思う。一部をサンプル的に見て判断したのか
署名は基本的にMKさんがやられたことで、書かれている文面にはMKさんの主張で書かれたところがある。ただ、MKさんが私たちに対していい加減なものというのは避けたいと思ったので、今言われたようにサンプル的ではあるが、いい加減なものかどうか、という感じで調べさせていただいた。
――あくまでも発言の裏付けを取るためだったのか
そうだ。