髙士理事(都島自動車社長)大タ協理事会で執行部に質問
白タク阻止と2種免取得低年齢化要求は相反と疑義
顕在化している「既存の白タク問題」にも言及
2015年7月21日付・第338号
【大阪】7月17日の大タ協第39回理事会で、高士雅次理事(都島自動車社長)は「常勤から非常勤への勤務変更が認められた足立堅治・専務理事は準特定地域協議会の事務局長も務めており、今ただちに後任を置かないということについて、どのように考えているのか。非常勤となると、どのくらいの勤務をして、役員報酬等の変更があったのか、なかったのか。またウーバーやリフトに対抗するのは大事なことだが、気になるのは自家用有償輸送と2種免許取得年齢の低年齢化の要望がある。特に我われが要望している2種免許取得年齢の低年齢化について、実際に自動車保険金を見ても、21歳以下は事故が多いため掛金が高くなっている。ウーバーやリフトの反対運動を展開するにあたり、この要望は止めた方がいいのではないか」と質問した。
これに対し、三野文男会長は「ベストなチョイスとは考えていないが、体調不良を訴えており、急に業務に差し支えることがあっては困るということで、止むをえない措置ということを理解してほしい。以前から退任の申し出があったが、後任体制が整うまで非常勤で努めてほしいと要請した。本人は医師から大幅に勤務から外れるよう、言われているようなので、取りあえず週2日勤務して、状況に応じた判断をしていく。報酬については本日の段階では確定していない」と答えた。
また2種免に関する質問には井田信雄・常務理事が「輸送の安全のため白タクをなくそうという運動と2種免取得要件の緩和は相反するという意見だが、今の雇用情勢では2種免取得に弊害があるという地域もあり、安全面を担保しながら緩和措置で運転者の確保が図られるか、ということと併せて、両方推進することで運転者を確保するというのが運動の方向」と答えた。
これに対し、高士理事は「私は2種免取得要件を緩和したからといって、機会は広がるが、必ずしも雇用が増えるとは思わない。だから、白タクと戦うなら、障害のあるものを取り下げてから行うべきだ」と意見を述べた。
足立専務は「自家用有償輸送については関淳一・最高顧問が『自家用有償輸送であっても2種免許を取得させよ』と、随分昔から主張してきた。自家用有償輸送が1種免許でいいのなら、タクシーも1種免許でもいいのではないか、という相反する理論が成立する。(全タク連の主張は)決して『2種免許を廃止せよ』というところまではいっておらず、取得年齢を引き下げ、(若年層には)接客サービスや運転技術の教育を業界で行うという提案をしたが、そこは外されている」と答えた。
一方、鳥取県ハイヤー・タクシー協会の船越克之会長が6月23日、東京都千代田区の「経団連会館」で開かれた(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会第103回通常総会で、地方創生の流れの中、2種免取得に 年間2400万円の補助金が降りたことを報告。
その上で、全国の協会が地域にこのような補助金を要請することにより恒常的な補助金制度につながると働きかけを呼びかけ、「現実に隣接する山口県協会がこのことを山口県庁に働きかけ、その照会が鳥取県庁に来ている」ことを示し、運動が広がりかけているとしたが、当日の大タ協理事会では執行部はこの報告は行われなかった。
せっかく一般理事からの問題提起があったにもかかわらず、理事会において全タク連で行われたこうした地方からの報告の紹介を疎かにしたため、2種免制度があるから運転者が来ないのか、養成費用をねん出できる経営状況にないから新規運転者を集めることができないのか、という本質的論議から距離を置いた質疑となってしまったと言えそうだ。