(一社)大阪タクシー無線センター誕生
ドコモとシステム共同開発
1億円で呼出し電話とスマホ配車

2015年7月1日付・第336号

【大阪】大無協の解散に伴い、(一社)大阪タクシー無線センター(澤志郎・代表理事)の設立総会が6月30日、大阪市天王寺区の「ホテル・アウィ―ナ大阪」で開かれた。

総会では、澤氏が代表理事となり、副理事長には和田廣一・全大個協会長、金子誠二・東亜交通会長、黒田司郎・堺相互タクシー社長が選任され、大無協正副理事長が平行移動する格好となった。

冒頭、澤会長は新組織設立にあたり、システム開発等に関わった会員を労い、これまでの歩みを振り返った。大阪タクシー無線センターの設立総会で初代・代表理事に選任された澤志郎氏の発言はつぎの通り。

「旧組織の大無協の会員だった方がたが、漏れなく一般社団法人の会員になっていただいた」と謝意を表明。

その上で、「今日、総会を迎えられたのは、いろいろなラッキーな偶然が重なったおかげだと思っている。1つは昔、関淳一氏が理事長だった時代に、小さな大無協づくり委員会をつくり、ひじょうにコストの高い運営は見直さなければならない、ということで、その時に新しい呼出し電話器をつくった。

それから14年近くが経過した。その間、どうも電話の通信の方式が機械と合わず、データの収集ができないという問題が起きた。もう1つは、傘の下でお世話になった大阪タクシーセンターが公益財団法人になるということで、『呼出し電話事業は独立しなさい』ということになった。

これら2つのことがあったので、大無協として1億円を投じて新たな電話器、新たなソフトをつくり、新たな一般社団法人に移管することができる、ということになった。ところが、昔と違い、公衆電話がどんどん少なくなっており、電話器をつくるメーカーがない。そこで、いろいろなところに声を掛けることになった。

その時、牛島憲人氏がドコモさんにも声を掛けたらどうか、と言ったように記憶しているが、そうしたら、ちょうどドコモさんがいろいろな業種とのコラボを展開するなどシェア拡大を模索していた。

ドコモさんは、1つのターゲットとして『タクシー業界はどうか』ということを内部で検討していたようだ。そこで、ドコモさんは『ぜひやりたい』と言ってきたが、こちら側は『1億円しかない』と。それでも『やろう』ということになり、こちらは『電話器をつくってもらうだけでなく、スマホ配車システムを一緒にやってほしい』と言ったところ、ドコモさんは『分かりました』となった。

1億円では相当足が出たのではないかと思うが、そのような偶然が重なった結果、大阪タクシーセンターから資産譲渡を受けることができたと思っている。そのために次世代設備の委員会をつくった。これも牛島氏に感謝するが、協同組合の若手の人につくってもらったらどうかということになり、会合は18回以上に及び、本当に苦労をかけた。

それによってドコモという組織が、一体どのように仕事を進めていくのかを直接経験することができた。今流行りのスマホ配車画面をどうしたらいいのか。利用者に対する約款についても勉強もされた。これからの大阪のタクシーを背負っていく訓練にもなったのかなと思う」

「新しい電話器ができ、スマホ配車の仕組みができたというだけでなく、次世代に引き継ぐ準備になったと思っている次第だ。電話器は従来のものと同じだが、もう1つはスマホ配車。東京で流行っており、今後はそれでないとダメということになっているが、大阪ではスマホ配車は要らないという声もあるやに聞いている。

従来は内部で争って問題もあったが、外の人たちは業界内の人たちとタクシーの評価が違う。内部の人は運転者が減り、今後どうなるのか、という心配をしているが、外の人はタクシー類似行為で大儲けできると思っている。

シェアリングエコノミーで、タクシー以外の柱になっているのは宿泊。旅館業の他にも一般の家に泊めてもいい。特に大阪・京都は泊るところがないというので、それなら手を挙げた一般の家に泊めたらいいのではないかと。そちらは進みそうな気がする。そちらが進んで、タクシーが無傷でいられるのか、どうか分からない。

難しい時代になる気がするが、それに対し、我われは従来の手段だけでなく、スマホでも配車できて、無線でも上手につなげれば、人出がかからずに配車できる。だから、ぜひこの仕組みを使うようにしてほしい。『アプリをダウンロードして、それぞれのスマホに登録してほしい』と言う前に、登録すれば使えるということでないとダメ。だから次世代委員会の人に、『お願いだから、まず自分から使ってよ』とお願いしたところだ。

このようにタクシーは、そこで働く人が角突き合わせて、安くすればいいというだけでない。皆が乗って何とかしていく。それができれば、今後の難しい状況も何とかしていけると思っている。皆さんにご苦労をお掛けして、ここまで来られたことに感謝している」