東三河南部、泉州、鹿屋の準特定地域指定解除
平成13年度との営収比 昨年度僅かに上回る?
鹿行の準特指定の動きは新規参入のウワサから
2014年11月7日付・第313/314合併号
【全国】国土交通省は10月31日付で、東三河南部交通圏(愛知)、泉州交通圏(大阪)、鹿屋交通圏(鹿児島)の準特定地域指定を解除し、鹿行交通圏(茨城)を指準特定地域に定した。
泉州交通圏でハンドルを握る労組幹部は「職場では、道路運送法改正直前の2001年度平均年収は258万円だったが、2013年度の平均年収は273万円」と賃金ベースで上昇していることを裏付けた。
この会社の運転者充足率は9割を超えており、腕の良い運転者は1稼働でいまも4~5万円挙げられる。かつての大阪市域のように、3万円超えなど目標に到達次第、入庫する運転者もいるという。指定解除されたことで、新規参入と増車が懸念される。
3交通圏の関係者に対し、国土交通省や当該運輸局は9月下旬、「準特定地域の指定を解除する」旨を伝えていた。
関係者によると、準特定地域指定が解除に至った要因は、平成13年度と平成25年度の平均実働日車営収入を比較し、平成25年度の数値が僅かに上回ったためで、事故件数や過去5年平均値との比較ではなかったもよう。
また、これら地域は準特定地域解除基準に達していたため、国交省は10月中旬までに当該地域の指定を解除する方向だったが、全タク連の坂本克己・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員会本部長、全タク連幹部、自民、民主のタク議連、公明交通部とハイタクフォーラムを構成する労働団体などの「特定地域の指定が先で、順序が違う」とした猛烈な抗議に押され、月末まで持ち越された格好だ。
鹿屋交通圏が解除された鹿児島県タクシー協会は本紙の取材に「鹿屋交通圏は総車両数100両余りの地域だったが、30両ほどの事業者が廃業。それまでは実働日車営収入が県平均の1万7千円に満たなかったが、2万円を超えるようになり、県内トップに。そこで、このままでは準特定地域指定が解除されるのでは、などの憶測も流れた。しかし、増車や新規参入があるかというと、慢性的な運転者不足が続いており、指定解除に関係なく、これからも減車する事業者が出てくるのでは…」と語った。
泉州交通圏でハンドルを握る労組幹部は「私の職場では、2001年度の平均年収は258万円だったが、2013年度は273万円」と語った。この会社の運転者充足率は9割を超えており、腕の良い運転者は1稼働でいまも4~5万円挙げられ、かつての大阪市域のように、3万円超えなど目標に到達次第、入庫する運転者もいるという。
また東三河南部交通圏は昨年、B級ご当地グルメの祭典が開かれ、一時的に営収が伸びるなど観光需要の増加が要因と考えられるが、平常時は例年と変わらないとしている。
準特定地域の指定を受けた鹿行交通圏は改正タクシー特措法が施行された1月27日、指定解除後も一定期間、新規参入と増車を抑制するセーフティネットの役割を果たした特別監視地域が廃止されたため、最近は新規参入を準備しているなどの情報が頻繁に関係者に入るなどで、地元事業者らは準特定地域の指定が必要と判断。茨城県ハイヤー・タクシー協会が国土交通省に働きかけていた。今回、準特指定が解除された地域でも同様の経緯を辿る可能性がある。
松永次央・全自交労連書記長は解除前日、本紙に「10月24日に国交省幹部と懇談を持ったが、特定地域の指定と準特定地域解除とは『基本的にリンクしていない』とし、解除される地域の労働条件等が本当に改善されているか、数字で示してほしいとする要請には『そのような資料は持ち合わせていない』ということだった。先の参院国交委員会における田端浩・自動車局長の答弁で『労働者の実態がどのように改善されたのかを見る』としていたのに、我われの要請にはそのように答えている。消費増税により諸物価が上昇し、燃料価格が高騰を続けるなどタクシー事業者の経営を圧迫する状況下で準特定地域指定の解除はありえず、指定解除を定める通達の見直しを求めた。同席の民主国交委員も同調した」と述べ、「解除された場合には国交省に対し、何らかのアクションを起こす」と怒りあらわにした。