全自交労連第70回定期大会 三役会設置
伊藤委員長「枠を超え市民運動と連携」
8月豪雨で被災した市民にお見舞い

2014年10月21日付・第312号

【広島】全自交労連は10月16日~17日、広島市中央区の「広島県民文化センター」で、第70回定期大会を開いた。新たに三役会を設置するため規約を改正することを提案し、了承された。17日から効力を発揮。大会の決定に従い、三役会は、重要課題について基本的な論議を行うとともに、中央執行委員会、常任執行委員会開催までの間の緊急重要案件について審議し、決定する。

冒頭、伊藤実委員長は、情勢報告で、「与党自民党は、昨年12月には特定機密保護法を強行採決し、今年に入り、4月には武器輸出三原則の変更、7月には集団的自衛権の解釈変更と続いている。こうしたことには、国民の半数以上の人が反対しているのに、全く聞く耳を持たない。暴走をしていると言わざるを得ない。現在の政治状況を見ると、やはり労働組合が枠を超えて、市民運動と連携しながら、奮起していかなければ、いずれ戦争に行き着いてしまうのではないかと危惧している。我われは何としても、ここは踏ん張っていきたい。さいわいにも数多くの地方議会が反対を表明している。来年、4月には統一地方選が控えている。その時には自民党にノーを突きつける取り組みをお願いしたい」と訴えた。

また改正タクシー特措法について、「施行後8カ月が経過しているが、ほとんど進捗していないというのが実態。運賃については一部MKなどが、下限割れ運賃で営業しているが、ほぼ下限割れ運賃は解消できた。だが、そのMKは、国を相手取り運賃変更命令取消訴訟を行っているし、京都では深夜早朝割増運賃の廃止申請、さらには、5・5円割問題と、課題は残されている。特定地域の指定基準がいまだに明らかになっていない。大阪の特区申請については、タクシー議連の先生方のおかげで臨時国会では見送りとなったが、やはり規制改革会議の横槍が大きな壁となっている。3党議連の議員立法として成立した経緯があり、一日も早く、措定基準が明らかになるよう働きかけを行っている。今、東京では、初乗り距離短縮運賃が論議されている。導入されれば、運送収入が下がるのは明らか。最終的には運転者の賃金に跳ね返ってくる。疲弊した状況の中、労使が力を合わせて改正タクシー特措法成立に尽力したのに、なぜ適正化に手付かずのまま、運賃に先に手を付けるのかと、納得できないでいる。東京で実施されれば、近隣の埼玉、神奈川、千葉に波及する。いずれは全国に拡大されて行く。駅待ち、車庫待ちが基本営業の地方では、事業の存続さえ危ぶまれるようになるのではないか。若い運転者が来ない問題の背景には、少子化もあるが一番の原因はタクシーでは稼げないという点にあると思う。改正タクシー特措法の目的である労働条件改善に向け、全員一丸となって努力することを確認したい」と述べた。

来賓の湯崎英彦・広島県知事は「広島を襲った局地的豪雨により、甚大な被害を被った。県内外皆さんから、本当にたくさんの支援をいただいたことに、この場を借りて厚く御礼を申し上げたい」とした。

松井一實・広島市長は「全自交労連は第70回定期大会を迎えられたが、広島市も来年、市制施行70周年を迎える。一足先に70周年を迎えられたということで、ご縁を感じる」としたうえで、「8月5日に多数の犠牲者を出した。その中で、全国から多数の支援をいただいた」と謝意を表明。「例えば、小学校に避難所を作ったが、移動手段を失った被災者に対し、無償で送迎していただいた。本当に感謝をしている」と述べ、これから復興にかけたいと引き続きの支援を求めた。