国が敗訴
事業許可取消処分 取消等求めた裁判
阪地裁判決「裁量権逸脱」適用

2014年7月1日付・第301号

【大阪】なみはやオーシャン交通となみはやタクシー(いずれも森正和社長)が平成23年2月14日付で近畿運輸局が監査累積点数が事業許可取り消し基準の80点を上回ったとして、2社の事業許可を取り消し処分としたことを不服として、それら行政処分の取り消し等を求め、提訴し争われていた行政訴訟の判決が6月26日、大阪地裁第806法廷(第7民事)であり、田中健治裁判長は2社に対する事業許可取り消し処分を取り消すよう言い渡し、原告側の全面勝訴となった。これに対し、近畿運輸局の阿部竜矢・自動車交通部長は同日、本紙の質問に「まだ判決文を読んでいないので詳細は分からないが、関係方面と相談したうえで控訴するかどうかを判断したい」とコメントした。

国は控訴するだろう 原告弁護士が語る

原告側の秀平吉朗弁護士は26日、「完全勝訴。正直に言って、勝っても負けてもおかしくない裁判だった。国はおそらく控訴してくると思う。また一緒に戦いましょう」と語った。吉田正樹弁護士は「3年余りの長い戦いだったが、毎回の口頭弁論で、多くの運転者の皆さんが法廷に応援に来てくれたことが力になった。判決文を精読しないと分からないが、判決は国がもっとなみはやグループに対し、真摯に向き合わなければならなかったのができていなかったということだろうと思う」と述べた。判決まで処分を執行停止する仮処分の効力は26日までのため、原告側弁護士はあらためて執行停止申し立て手続きを行い、同日付で大阪地裁は決定した。 今回の最大の争点について、秀平弁護士は「いきなり監査に入られ、聞かれている側は何が問題とされているのか、何を聞かれているのかが分からない状態だった。間違えた回答をしてしまい、処分を受けてしまう。そのような手続きはダメだということだった」として、監査に入る行政側が事前の準備が不十分だったことを裁判長が認めたことにあるとの認識を示した。

寝屋川市で報告集会 森社長 涙で語る

翌27日、なみはやグループは寝屋川市民文化会館で報告集会を開いた。吉田弁護士は「3年前に提起した際、最初に執行停止を決定していただいた。この間、なみはやグループが営業できたのは、この執行停止決定のおかげ。昨日は判決と執行停止を引き続き決定するかどうか、という判断が行われた。判決の結果が良くなければ、本日は営業ができなかった。結果が良かったので、少なくとも当面は営業が続けられるようになった。田中裁判長は判決言い渡しで『処分行政庁が平成2月14日付でなみはやオーシャン交通となみはやタクシーに対し行った一般乗用旅客自動車運送事業許可取り消し処分を取り消す』と言った。3年間、大きく分けて2つの問題があった。1つは運輸局はルールに従って処分をしていないのではないか。何でなみはやグループが悪く、どのような理由で処分するのかが、全く分からなかった。そのような処分はないだろうということ。もう1つは、違反事実を多数認定しているが、その事実は本当にあったのか。違反と言うが、本当に悪いのか、ということだった。弁護士から見たら、大きな争点は最初の方かな、と思う。運輸局が科した処分のやり方が悪い。判決では、運輸局が違反だと言っているが、それは違反ではない、という内容になっている。完全勝訴だ。昨日、執行停止を継続するという決定が出た。日本の裁判は三審制だが、最高裁の判決まで執行停止するというもの。最高裁までにひっくり返る可能性はゼロではない。裁判官も人。皆さんの嘆願書にもすべて目を通した結果だと思う」と述べた。

コンプライアンス 経営強化を約束

森社長は「運転者さん、家族の人、会社の関係者、弁護士先生、すべての人に感謝したい」としたうえで、「細かい点呼等、違反事実は確かにあった。これはキチンとあらためていかねばならない。今後、運輸局に逆らうのではなく、指導を仰ぎ、このようなことがないように努めたい。私が間違えたというようなところがあれば、皆さんから指摘してほしい。何とか2、3年で終結させたい」と述べ、事故がなく、違反もなく、仲良くできる運転者が良い運転者だとして、そのような新しい運転者を迎えていきたいと表明、経営強化に務める考えを示した。