規制改革会議が特定地域指定けん制
全タク連関係者 強い不快感を示す
MK等の訴状文面に酷似との指摘も

2014年6月21日付・第300号

【東京】『日本経済新聞』6月9日付紙面で「同日、規制改革会議(議長=岡素之・住友商事相談役)作業部会が開かれ、タクシーの新規参入禁止や事実上の減車を求める新たな規制について、対象の地域を少なくするなどを求める意見をまとめた」などと報道した。規制が強すぎるとして「裁量権の逸脱は明らか」との指摘があったという。

これに対し、全タク連幹部らからは「ここまで来て規制改革会議に押し戻されては元も子もない。地方の疲弊は進んでおり、地域公共交通として交通弱者や住民の足を守るためにも、さらなる適正化は不可欠ということを理解してもらう活動を強める必要がある。再度、地元議員を回り、もうひと踏ん張りも、ふた踏ん張りもしなければ」と危機感を込めた声が出ている。

京阪神と福岡のエムケイ、大阪のワンコインドーム、福岡のBLUE ZOOなどが起こしている運賃変更命令差し止め請求(仮処分請求)が福岡地裁などで決定されたことを背景に、本裁判の開始以前ではあるがこれら事業者を支持する陣営が早くも勢いづいているとの見方が出ている。一方、公定幅運賃内に合流した大阪の元ワンコインや京都の元下限割れ事業者は、2割を超える値上げだったにもかかわらず、「客減り」はほとんどなく、稼働しているタクシーはあまねく営収が上昇している。そのためか、今回の会議等では「運賃規制」はさほどターゲットにならなかったもようだ。

本紙が独自に取材したところによると、特定地域指定を論議する国交省に配慮を求めている。同日、規制改革会議に提出された資料には、「憲法22条で定める営業の自由を制約する」とする見出しもあった。改正タクシー特措法等では特定地域の指定は、地域の実車率、実働率、実働日車営収、需要量(実車走行距離)などの地域全体の数値が減少しているかどうかで判断する――としており、具体的な範囲や基準数値については「検討中」としている。

一方、会議では「事故発生率のほか、運転者の充足状況、最賃割れを起こしていないかなどの賃金水準、サービス向上の度合い」など、基準項目を変更すべきとする意見があり、従来のMKの主張に酷似しているとの指摘もある。『日本経済新聞』によると、特定地域について「国交省が同日の作業部会で示した試算によると、規制の対象になるのは全国で営業しているタクシー(営業区域?)のうち最大6割に上る。規制会議は対象が多すぎると指摘し『半分を明らかに下回る割合にすべき』」と注文を付けたという。

6月6日の第34回規制改革会議では、議題の一つに「タクシー規制について」があり、資料には改正タクシー特措法の①特定地域の指定関係資料②公定幅運賃制度関係資料③タクシー事業の特性と供給過剰の関係④改正タクシー特措法が成立するまでの経緯――などが添付された。

6月13日に開催された第35回規制改革会議では、農協改革、ホワイトカラー・エグゼンプションを中心に取りまとめられた答申が安倍晋三首相に渡されたが、この中にはタクシーに関するものは含まれていない。タクシーに関するものは、この間に急浮上したもので、今回の答申には間に合わなかったと見られる。

こうした動きに、改正タクシー特措法成立に向け全力を傾注した全タク連・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員会の坂本克己本部長は不快感を示し「規制改革会議で何があろうと成立した法律は覆らないが、我われはどのような経緯で起きているのか、細心の注意を払い対応する必要がある」と語った。