タクシー新法案、付帯決議と共に参院通過、20日本会議で成立

2013年11月25日付・第276号

【東京】タクシー新法案(特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等一部改正案)は11月19日、参議院国土交通委員会で集中審議が行われ、自民、民主、公明、みんな、共産、維新、社民の7党派8人の質問に自民の金子一義・衆院議院ら提案者が答え、質疑開始後2時間26分、起立賛成多数で可決した。続いて、民主の田城郁議員が自民、民主、公明、維新、社民と共に共同提出した14項目(予定から1項減)の付帯決議を読み上げて提案し、起立賛成多数で採択された。タクシー新法案は20日の参院本会議で決成立が確実となった。

特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する付帯決議

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

①一般乗用旅客自動車運送事業が、地域の公共交通機関として重要な役割を担っていることを関係者は認識し、運転者登録制度の拡充や旅客自動車運送適正化事業実施機関制度の導入等が行われることを踏まえ、引き続き運行の安全を徹底すると共に、サービスの高度化や高質化に積極的に取り組むことを通じて、サービス面での競争を活発に行い、利用者利便の一層の向上が図られるようにすること

②特定地域の指定については、その法的効果に鑑み、厳格に行うこととし、現行特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法に基づく特定地域に係る指定基準より厳しい客観的な基準を設定した上で、適切に運用すること

③特定地域の協議会における特定地域計画の作成に際しての協議会としての合意の要件として、保有車両数の規模による法人事業者の区分や個人タクシー事業者のカテゴリーごとに車両台数シェアを等しくした基準を設定することとし、これを周知、指導すること

④特定地域計画に記載する、削減すべき供給輸送力の削減の方法等については、保有車両数の規模による法人事業者の区分や個人タクシー事業者のカテゴリーに応じて、一律ではない削減率による減車(地域ごとに設定されている最低車両数を下回らない台数までとする)や営業方法の制限を柔軟に行うことができることとし、参考となる具体的パターンを示すなどの方法により、これを周知、指導すること。また設定される削減率については、あらかじめ協議会で合意した基準により、下限等の調整もできることとし、それを周知、指導すること

⑤準特定地域における増車に係る事業計画変更の認定について、事業者の1台当たりの増収実績(特定地域として指定されていた直近の期間に係るものも含む)、雇用する運転者の賃金増の実績等をその基準として設定し、適切に運用すること

⑥国土交通省は、公正取引委員会の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律についての見解に基づき、改正後の特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法に基づく行為として、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律上、何が問題とならないとされるのか、また何が問題となるのかについて、明確となるよう、文書により周知を図ること

⑦国土交通大臣が指定する運賃の範囲については、利用者利便の確保の観点を十分に踏まえて、安易な値上げが行われないよう、指定に取り組むこと

⑧国土交通省及び厚生労働省は、累進歩合制の廃止について、改善指導に努めること。また労使双方に対し、本法の趣旨を踏まえた真摯な対応を行うよう促すと共に、取り組み状況を把握し、助言等、必要な支援を行うこと

⑨一般乗用旅客自動車運送事業者は、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制の廃止、事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し、過度な遠距離割引運賃の是正等、賃金制度等の改善等に努めると共に、運行の安全を確保し、拘束時間外に運転代行業務に従事すること等により、安全な運転をすることができない運転者を乗務させることがないよう、万全を期すること

⑩国土交通省は、運転代行業者による場合も含め、いわゆる白タク行為が行われることがないよう、関係機関と連携して監視、取り締まりの強化を図ること

⑪本法の施行後も個人タクシー事業者による事業の譲渡譲受が円滑に行われるよう、譲受しようとする者に対する試験制度等の運用改善に取り組むこと

⑫旅客自動車運送適正化事業実施機関による事業の推進に当たっては、その周知を図ると共に、適正化事業が的確に行われ、旅客からの旅客自動車運送事業に関する苦情の解決が迅速になされるよう、適切な支援等に努めること

⑬本法の趣旨を踏まえ、タクシーの供給過剰対策、運転者の健康を守る観点等からの過労運転防止対策などの推進を図るため、関係省庁連携の下、監査指導体制の充実強化に努めること

⑭本法の施行後における施行の状況や効果について、3年ごとに総合的に検証を行い、その結果を本院に報告すること

右決議する