交通政策基本法案が衆議院本会議を通過
2013年11月18日付・第275号
【東京】交通政策基本法案が11月15日、13日の衆議院国土交通委員会に続き、衆院本会議において賛成多数で可決した。
衆院国交委員会における13日の審議で、三日月大造議員(民主)は、①交通の安全②基本的な交通需要の充足③交通事業従事者確保④有機的連携の観点から高速道路料金問題――などについて答弁を求めた。
また、辻元清美議員(民主)は、①基本計画の策定②地域協議会への労働組合、NPOの参加――など5項目について質問した。
以下、交通政策基本法案・衆議院附帯決議の全文を掲載する。
交通政策基本法案・衆議院附帯決議
①交通に関する施策の推進に当たっては、交通政策基本法案に基づく「交通政策基本計画」と、社会資本整備重点計画法に基づく「社会資本整備重点計画」を車の両輪として取り組み、もって、今後の国土・地域づくりの指針となる、中長期を見据えた、新たな「国土のグランドデザイン」の実現に寄与すること。
②交通においては、「安全の確保」があらゆることに優先する最も重要かつ基本的な事項であることから、道路交通の安全等陸上交通の安全、船舶の保安等海上交通の安全及び航空保安等航空交通の安全の各分野について、関係法律で定めるところにより、万全を期すこと。また、交通に関する施策の推進に当たっては、交通安全対策基本法その他の交通の安全に関する法律等に基づき実施される施策と十分に連携し、交通の安全の確保に万全を期すこと。
③交通に対する基本的な需要の充足に当たっては、高齢者、障害者、妊産婦を含む国民が日常生活及び社会生活を営むに当たり必要な移動、物資の円滑な流通等の需要を十分にくみとられたものとなるよう最大限配慮すること。
④豊かな国民生活を実現し、我が国経済社会が力強く成長していくためには、交通の機能の確保及び向上を通じた地域格差の是正が極めて重要であり、このことを十分に踏まえて交通政策基本計画を策定すること。
⑤交通の機能の確保及び向上に当たっては、エネルギーに関する国内外の情勢の変化を含む社会経済情勢の変化に的確に対応すること。
⑥人口減少、少子高齢化の加速度的な進展や、国際競争の激化の中で、地域交通の確保や、国際海上及び国際航空の競争力強化は喫緊の課題であることを踏まえ、本法の成立を受け、地域交通や港湾の分野での個別法の見直し等を含む制度改正に速やかに取り組むこと。
⑦日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保に当たっては、離島のほか、豪雪地帯、山村地域、半島地域、過疎地域といった地理的、自然的、社会的条件の厳しい地域に関する自然的経済的社会的諸条件にも十分配慮する必要があること。
⑧バリアフリー施策の推進に当たっては、例えば全国一律の基準ではカバーできない場合であっても、地域の実情に応じた運用を行えるようにするなど、利用者の目線での改善に努めること。
⑨運輸事業その他の交通に関する事業が健全に発展し、サービスが安定して提供されるためには、交通に関する事業に従事する者の確保並びにこれらの者の労働環境の整備が重要であることに鑑み、交通に関する施策の推進に当たっては、交通に関する事業において必要とされる人材確保や労働環境改善にも十分に配慮すること。
⑩大規模な災害が発生した場合における交通への支障の発生及び拡大を防止するため、老朽化対策を推進するとともに、交通施設の耐震化の向上、代替交通手段の整備、避難のための移動及び救援のための物資の輸送への配慮に努めること。
⑪2020年の東京オリンピック及びパラリンピックの開催に向けて、地方を含む日本の津々浦々まで外国人旅客が入り込む国土・地域づくりを目指して、東京のみならず、地方部を含む形での交通手段の充実、移動の円滑化、観光旅客の円滑な往来の促進等を図るとともに、万が一の大規模災害発生時における交通機能の維持、円滑な避難の確保等に万全を期すること。
⑫交通による環境への負荷の低減を図るため、JR貨物や内航海運による貨物輸送への転換(モーダルシフト)をより一層推進するための取り組みを進めること。
⑬自転車は、国民にとって非常に手軽で身近な交通手段であると同時に、地球環境にも大変優しいものであることに鑑み、関係各省庁が連携して、今後、走行環境の改善などその利用促進に向けた施策とともに、自転車による事故の減少を図るための施策を総合的に講じること。
⑭交通に関する国際協力を推進するに当たっては、開発途上地域に対する人材の派遣や外国において災害が発生した場合の交通施策の復旧等の支援にも十分に配慮すること。