岩月局長会見 もはやお題目と化した「金融機関の融資」

2021年2月21日・第511/216号

福岡など九州地区の日本経済新聞で「管内バス・タクシー廃業・休業30社」、NHKは「福岡県内の2月15日時点のまとめでは、貸切バスの休業2事業者、廃業6事業者、法人タクシーの休業3事業者、廃業5事業者で、合わせて16事業者にのぼる」と報道した。

2月18日に行われた岩月九州運輸局長定例会見の冒頭質問でNHK記者の質問を受けた回答だ。国内観光需要回復の見通しは、ワクチン接種が広がれば1年後にはかなり戻るとしたが、インバウンドに対しては、各国でワクチン接種など感染防止対策に差があることや変異種への対応に未知の部分があり、具体的な見通しは示せないとした。

九州運輸局がサンプル調査をもとにまとめた1月のモード別輸送人員、運送収入の落込みは著しく、昨年8月の水準をさらに下回る。特に貸切バスは前年同月比10%。昨年12月は80%まで回復していただけに、落差が激しすぎる。JR九州も昨年10月以降漸減を続け、1月は43%となった。旅客船は33%。こうした数字に比べると、タクシーはやや高いが、それでも昨年8月を下回る57%と厳しい。こうした流れを受け、宿泊施設は25%まで落ち込んだ。

これに対し、岩月局長は「金融機関の融資で何とか」と言うのみ。融資を申し入れても断られるケースもあると聞くが、さらに借金を背負わせようということなのだろうか。もっと現実を見据えたご回答を願いたいものだ。

<山田>

写真:記者会見で質問に答える岩月理浩・九州運輸局長(リモート画面から)