三次補正バスタク三百余億円確定 画餅に帰させないためには

2021年1月1日・第507/212号

政府は第三次補正予算を閣議決定し、タクシーのコロナ感染防止対策に対し、初めて予算を付けた。

その規模は300億円余り。ただし、バスへの感染防止対策も含めての額で、単純に考えればタクシーの取り分は150億円余り。全タク連の川鍋会長は「上限額は十分ある。問題は、タクシー事業者がどれだけ感染防止対策の補助を使うかだ」として、むしろ予算が余るケースを懸念する。

当初、国交省の祓川局長はこれまで、高性能フィルター付空気清浄機と見える化タブレットのセット10万円に対する半額補助に言及していたが、これでは事業者負担はセットあたり5万円となるため、「画餅に帰す」懸念の声が各地から上がっていた。これを受け、国交省は自治体との協調補助を実現させ、できる限り事業者負担を抑えることを呼びかけている。

しかし、都道府県により補助の出し方はさまざま。国のように全国一律というわけにはいかない。事業者には、EV補助としての日産リーフやUD補助としてのジャパンタクシー等のケースがトラウマとなっていると思われる。

負担軽減と予算が余ることへの懸念などからか、国交省はセットへの補助だけでなく、空気清浄機、見える化タブレット、運転席の防護シールドのいずれかの設置に対しても補助を行うと言い出した。

新型コロナ第3波により再び緊急事態宣言が発令される状況の中、全国の事業者からは、一部補助だけではなく、疲弊する経営への支援を訴える声が日増しに強くなっている。全タク連と国交省は、最悪の事態を想定し、万全の対策をしてきたと言えるだろうか。

<山田>

写真:2020年11月の公明党ハイヤー・タクシー振興議員連盟総会後に公開されたニューノーマルタクシーの内部。このときにはまだ、経済と自粛の両輪のうち、比重は経済に傾いていた