小難しい一括定額運賃を改め「ちょい乗り」のような呼び方に
2020年12月15日・第506/211号
国交省は11月30日、一括定額運賃の申請受付を始めた。
一括定額運賃とは、タクシーの複数回の利用分の運賃を一括して支払う制度で、「通勤など継続利用に便利」「一括清算により割安になることが期待」「他の交通モードと連携した観光用フリーパス等も推進」――などの効果が期待されている。
一方、配車アプリではクーポン、ポイント制などが適用され、事実上の割戻し運賃が選ばれる傾向にある。
ある協同組合では、チケットや無線の利用が低下する反面、アプリ配車の利用は増加傾向にあるという。新型コロナウィルス感染拡大が留まらない今、人を介さずタクシーを呼ぶシステムの活用は上昇傾向にあると言えそうだ。
また、一括定額運賃というと、定期券のイメージがあるが、JRの定期券割引率は一カ月50%、割引率の最下位は京成電鉄の36%だそうだ。大量輸送機関ではないタクシーでは、とてもではないが、このような割引はできない。
ひるがえって、一括定額運賃の最大割引はどのくらいなのか。国交省自身が一括定額運賃を「定期券か回数券」とイメージしていることから、10%程度がせいぜいだろう。
このことから、運賃の割引率は一定にして、他の方法で利用者に割安感を覚えてもらう必要があると言えないか。
国交省は小難しい「一括定額運賃」を一般には使わず、「ちょい乗り」のような親しみやすくて分かりやすいキャッチフレーズを募集している。
<山田>
写真:2020年12月9日の全タク連正副会長会議で一発定額運賃の親しみやすいキャッチフレーズを呼びかけた早船文久・国交省旅客課長