マスク着用を運送約款に盛り込む事業者側の意図を酌め
2020年9月21日・第498/203号
ルフトハンザグループは、6月8日付で一般運送約款を改定し、「搭乗した乗客が口と鼻を覆うマスク類を着用する」ことを義務付けた。
マスク不着用を巡っては、LCCを運航するピーチに搭乗した乗客が客室乗務員からのマスク着用要請を拒否するなど安全阻害行為があったとする機長判断で「途中下車」させた事件が記憶に新しい。
一方、タクシーでは東京の日の丸交通と荏原交通など6社は8月31日までに、利用者にマスク着用を義務付ける運送約款変更申請を提出した。これまでにもマスクを不着用で乗車した利用者に用意したマスクの着用を求めてきたが、トラブルもあったという。
これは、国交省が8月19日付で公表した利用者にマスク着用を促す「お願い」文書では不十分という認識の現れだろう。全タク連も6月4日付で「タクシーにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定したが、どちらかというと利用者が安心して乗車できるよう運転者に求める内容になっている。
近運局は「マスク不着用を理由に運送の引き受けを拒否するのは乗車拒否」との見解を示し、高齢運転者を感染から守りタクシー離職に歯止めをかけようとした事業者を失望させたが、東京の約款変更申請を受け、関運局判断に足並を揃える意向を示した。
今後はコロナによる運転者離れを防ぎ、持続したサービスを提供するためにも約款変更が必要になりそうだ。関運局審査の推移を見守りたい。
<山田>