国をあげた感染対策で安心して働ける環境づくりに重点を

2020年8月21日・第495/200号

雇用調整助成金の特例措置が9月30日から、さらに延長されようとしている。加藤厚労相は、記者団の質問に明言は避けたが、「判断をしていく」姿勢を示した。

そんな中、8月19日付『日本経済新聞』に「雇調金 延長に財源の壁」見出し記事が掲載された。現状のまま延長すると財源が続かなくなるとの見方が出ているという。

今回の特例措置では、中小企業は第2次補正予算で手当てするが、大企業は企業は払う保険料の積立金を財源として活用していることから、積立金が当初の半分近くの6千億円程度に急減していることが背景にあると指摘している。

加藤厚労相の歯切れが悪いのは、厚労省は特例を打ち切れば失業者が増えかねないとして、延長する方針を与党に説明。これを受け、具体的な延長内容やそれに必要な財源について政府内で調整しているからだとしている。

失業には至っていないものの、休業状態にある人は6月時点で236万人おり、記事ではこうした人たちを人手不足が続く物流の働き手に促す必要性に言及している。人との接触が少ない物流業界では新型コロナ感染の可能性が低いと見ているからだろうか。

実際には宅配従業員からも感染者は出ており、感染対策の重要性は旅客運送事業と差はない。タクシーでは逆に、利用者からの感染を恐れ、高齢者の離職が増えている。重要なのは従業員が安心して働ける感染対策だ。経済再生の明暗もここにかかっている。

<山田>