川鍋会長は貨物自動車運送事業の分厚い壁を本気で打ち破れ

2020年7月1日・第491/196号

全タク連通常総会が三密を避けた縮小バージョンで開催され、提出議題は原案通りすべて承認された。

提案の柱のひとつは、10%の会費値上げだった。神谷俊広理事長は冒頭、「どうか、怒らないで聞いて下さい」と低姿勢で議事を進めた。従来から赤字財政だったが、何とか貯金を切り崩してつくろってきた。しかし、それも限界に来ている。コロナ禍で、議員先生に対し、助成金をはじめ、さまざまな支援をお願いしていかなければならない――こんな説明で、コロナ禍で出費を少しでも抑えたい傘下の全国協会執行部の説得にあたった。

川鍋一朗会長は、生活様式の変化で、家にこもることが多くなった人への対応として、タクシーによる出前サービスが実現したことについて、従来のタクシー経営を底支えするには至らないものの、これまで厚い壁だった貨物への進出を果たしたということで、高く評価している。

国交省の早船文久・旅客課長は講演で、「タクシー出前サービスについては、期限を9月末までに延長、有償貨物輸送に必要な高温対策として保冷装置の導入支援制度が一次補正予算に追加された、6月12日現在、許可件数は1580件、4万3970両となっている」と明かした。

川鍋会長は10月以降の継続を期待しているが、問題はこうしたニッチなサービスが、屋台骨を背負う一翼を担えるようになるかだろう。もう一歩踏み込み、会費値上げが納得されるよう、タクシーならではの貨客混載実現も期待したい。

<山田>