20万余署名 運輸審議会提出の意味
2015年9月21日・第343号
前回のこの欄では、MKの弁護士の公述内容から、「行政訴訟に発展した場合、受けて立つ既存業界側は相当な覚悟が必要」ということを記した。
今度は、公述席に座った既存タクシー事業者(福岡MKと大阪MKはタクシーでは規制緩和後に参入したという意味で既存と新規という表現を使う)から、MKグループの青木義明氏の発言がどのように受け取られたかに触れる。
大タ協の三野文男会長は9月18日の第40回理事会で「特定地域指定に反対する発言は、業界全体のことを考慮しての発言というよりも、自社を中心に据えての発言だった。公の場で、特定地域に指定されることの大義、必然性を広範な人たちから説明がなされ、国交省旅客課長からも、再三にわたり改正タクシー特措法の趣旨、指定の必要性について説明があり、有意義だった」として、近く大阪市域交通圏が特定地域に指定されることを確信している。福岡業界の幹部からも同様の意見があった。
MKグループの公述を裏付ける20万余人の署名についても、当の運輸審議会の上野文雄会長が「MKの主張を支持する人たちが署名したという点で、委員の見解が一致している」と述べている。
そもそも、法律に則り運輸審議会を開催している委員に対し「あなた達が大臣から諮問された法律は憲法違反の可能性がある」とする署名を20万余人分提出したということは、運輸審議会開催自体を無効と主張するに等しい。こうしたMKの巧妙な「布石」は後の裁判に使われる可能性が髙い。
<山田>
※9月21日付・旬刊「トラポルト」第343号、旬刊「トラポルト九州」第48号「正論・対論」より/写真:9月10日、福岡市博多区の「合同庁舎新館」で行われた福岡交通圏の特定地域指定に関する公聴会で福岡MKから提出された2万4千署名が入った段ボール箱