自信のMK 既存事業者は覚悟が必要
2015年9月14日・第342号
公聴会最大の山場と見られていた福岡と大阪の陳述が終了した。
上野文雄・運輸審議会会長が福岡の公聴会終了後、記者会見で「MKさんを中心にいろいろな意見が出たということは貴重だ」と語ったように、特定地域指定に賛同する業界と「憲法違反」の恐れがあり反対とする札幌、大阪、神戸、福岡のMKという構図が鮮明になった。
なかでも、福岡の公聴会では、MKの弁護士が「福岡交通圏の実車率のデータを見ると、平成21年度からほぼ横ばいの状態になっている。ゆるやかに下落している状態であるなら、供給過剰状態だといえるが、現実にはそうなっていない」ことを挙げ、「おそらく裁判所において特定地域の指定が違法かどうかが争われることになれば、かなり重要な論点になるだろう」として、行政訴訟に臨んだ場合、データで供給過剰状態になっていないことを示し、特定地域指定は妥当でないことを主張する構えをすでに見せている。
MKグループは神戸、福岡、大阪の公聴会で計20万人分の「特定地域指定は憲法違反(の恐れ)」があるとして反対する署名を集め、運輸審議会に提出した。
これには運輸審議会は「MKの主張の裏付け」を取る扱いに留まり、先の神戸の公聴会では4万人の署名が段ボール箱に詰めて運び込まれだが、指定が妥当という答申が大臣に示されている。
福岡では訴訟に臨んだ場合の手の内の一部を示したMK側。受けて立つ既存事業者側は相当な覚悟で臨まねばならないだろう。
<山田>
※9月14日付・旬刊「トラポルト」第342号、旬刊「トラポルト九州」第47号「正論・対論」より/写真:9月10日、福岡市博多区の「合同庁舎新館」で行われた福岡交通圏の特定地域指定に関する公聴会で発言するMKグループの濱弁護士