京聯廃業 看過できぬ社会保険滞納

2015年9月1日・第341号

京都で創業77年の老舗タクシー会社だった京聯自動車が8月28日付で歴史を閉じた。

同社は10億円余りの負債を負い、今年3月に民事再生法の適用申請を行い、9月提出を目途に再生計画を作成すべく八方手を尽くしたが、最終的に再建を断念せねばならなかった。最後まで頑張った関係者は無念だろう。

一般紙で報道されているが、最後の最後で再建をあきらめなければならなかったのは、延滞金を含めて2億2千万円に達していた社会保険の滞納。日本年金因機構はその金額を2年で返済するよう求め、曲げることはなかったからだ。

経営陣の見通しも甘かったのかもしれない。7~10年の分割納付を認めてもらうことで再建の力にしようとしていた。その経営陣によると、民事再生法適用申請までは単年で黒字だったという。どこから経営の歯車が狂ったのか、親会社の会社更生法適用申請から10年。再び借金は膨らんでいた。

インターネットで検索すると、京聯と言えば、修学旅行の班行動で乗ったタクシーというイメージが強いことが分かる。学生時代の思い出は脳裏に鮮明に刻まれていることだろう。彼らが再度、京都を訪れ、あのモスグリーンのタクシーはすでに走っていないことを知った時、どう感じるだろうか。

京聯自動車の廃業は、足跡を辿る限り、ある意味で必然だったとは言え、他山の石とするところも多いのではないだろうか。

<山田>

※9月1日付・旬刊「トラポルト」第341号、旬刊「トラポルト九州」第46号「正論・対論」より/写真:9月29日、京都市南区の京聯自動車本社営業所で前日廃業したため昼間も車庫に並ぶタクシー車両