ウーバー対策 急務となる労働条件改善
2015年8月11日・第340号
「やはり」という声が聞こえてきそうだ。本紙1面で報道したように、ウーバーは福岡の一件では懲りず、東京でライドシェアのため、自社ホームページでドライバー募集をしていた。
福岡同様、業界が抗議した途端に「やはりダメだったか」と、問題のホームページ部分をさっさと削除。けれども、その本質までは覆い隠せず、いまだにホームページの随所にライドシェア・ドライバー募集の痕跡が散見される。
まさに白昼堂々の犯行ぶりだ。ほんの4カ月前、福岡でのライドシェア参入が瞬く間に大問題となり、国交省の中止指導に「思しきこと言はぬは腹膨るるわざ」でしぶしぶ従ったのは誰だったのか。
現在の Uber Tokyo のホームページは、法人ハイヤー・タクシー運転者募集が掲げられ、登録フォームには法人住所等の記入欄があり、東京でライドシェア募集をしかけたことなどは、微塵もなかったようなそぶりである。
しかし、いまだ随所にライドシェアへの「誘い水」が散見され、これに2種免許を持った法人・個人運転者が引っかかるよう、「自家用車」で自由な時間、稼ぎの良いアルバイトができますよ、という「巧妙な網」がしかけられているような気がしてならない。
日本を去ったはずのヘイローも東京方面で何やら企んでいるもようだ。今回のウーバー問題で図らずも露呈したのは「あの業界」も、「喉から手が出るほど運転者がほしい」。業界の担い手を持ち逃げされないよう、特措法の趣旨である労働条件の改善が急務だ。
<山田>
※8月11日付・旬刊「トラポルト」第340号、旬刊「トラポルト九州」第45号「正論・対論」より/写真:6月24日、東京都千代田区の第二参議院会館内で開かれたウーバー等・ライドシェア対策をメーンに業界関係者・労働団体・国土交通省を呼んで開かれた民主党タクシー政策議員連盟総会で話す前田武志会長(奥左)