特定地域指定合意を前進させるには

2015年4月1日・第328号

特定地域候補地における準特定地域協議会がはじまった。すでに秋田市、仙台市、新潟交通圏で開かれた準特協議会で特定指定の合意が確認されている。

これらに続き、4月には全国9カ所の特定地域候補地で準特協議会が開かれるが、「旧タクシー特措法下で減車をしなかった非協力事業者との不公平が解消されない恐れがある」として、「それなら準特のままでいい」とする風潮が徐々に広がっているという。

3月26日の参院国交委員会で福岡出身の河野義博・参院議員(公明)が「地元では減車に非協力的タクシー会社により足並みが揃わないと二の足を踏んでいる」とし、スムーズに特定地域に移行できるよう、国にサポートを求めた。

一方、田端自動車局長は答弁で「改正タクシー特措法では不公平を解消するため減車非協力事業者には営業方法の制限を勧告・命令できる」と繰り返したが、この説明だけでは仮に行政訴訟になった場合どうなるか、不明瞭だ。

福岡と同じ流れは大阪市域でも起きている。こちらは深刻で、タクシー自由化特区構想の横ヤリや5月の都構想住民投票を控えた中での特定地域指定論議は「準特のまま」派に押され気味だ。

だが、「苦しい」と流れに任せ、業界自身が自由化に舵を切ったらどうなるのか。一度堰が切られたら、簡単に自由化で溢れるのはウーバーライドシェアの経験で火を見るより明らか。3地域で連続した特定指定合意をさらに前進させなければ、積み上げてきた権利は半永久的に戻ってこないだろう。

<山田>

※4月1日付・旬刊「トラポルト」第328号、旬刊「トラポルト九州」第33号「正論・対論」より/写真:2015年3月11日、東京都千代田区の「自動車会館」で行われた全タク連理事会の模様