業界の自己防衛機能が働くかがカギ

2015年3月21日・第327号

本紙でたびたび取り上げてきた福岡のウーバーライドシェアは国交省が白タクの疑いありとしてウーバー側に中止指導したことから、ひとまず落着した。

この件について、真っ先に今通常国会で質問したのは、自民の鬼木誠・衆院議院(福岡2区)だった。鬼木議員は「米ウーバー社が2月、福岡で実証実験を行っているライドシェアは、営業許可を受けずに自家用車で営業する白タク行為ではないのか」とズバリ核心を突く質問をし、これに対し国交省の田端浩・自動車局長が答弁に立ち「すでに中止指導を行い、それに従っている」旨を報告した。

ウーバー問題は一件落着したようにも見えるが、中止指導を受けた直後、ウーバー側は「予定通りの終了」と言い放ったかと思えば、テレビ東京が3月6日放送した「ワールドビジネスサテライト」ではこの問題を取り上げ、コメンテーターが「日本の法規制によるもので理不尽」と発言し、あたかも道運法に問題があるかのように印象付け、燻ぶりを見せている。

地元の福岡県タクシー協会は「そもそもスマホアプリで利用者とドライバーをマッチングすることが白タク行為につながるものであり、行政は相談時点の水際で中止指導すべきだった」と後手後手に回った対応に不満を滲ませた。

今回の件では逸早く地元業界が反対の狼煙を上げ、数回に渡り関係各方面に働きかけた結果だが、行政が言うように「様子見」をしていたらどうなっていたか。業界側の自己防衛機能が早期に働くかどうかがカギとなっている。

<山田>

※3月21日付・旬刊「トラポルト」第327号、旬刊「トラポルト九州」第32号「正論・対論」より/写真:2015年3月11日、東京都千代田区の「参院議員会館」で行われた民主党ハイタク政策議員連盟役員会の模様