中洲社会実験 大きな歯車 回転続けよ

2015年3月11日・第326号

3月2日深夜11時、社会実験はスタートした。飲食店から国体道路に出てきた酔客は、いつものように手を上げても空車タクシーは中央車線を通り過ぎるだけ。たまりかねて中央車線に飛び出し、ヒヤリとする瞬間も。

本紙が取材した指導員も指摘したが、利用者利便を図るなら、せめて国体道路沿いに1カ所でも乗り場がほしい。導線からはみ出して違法駐停車したり、交差点内からの乗車を厳しく取り締まるというなら分かるのだが。

国体道路建設当時の昭和44年はタクシー乗り場設置の論議はあったのだろうか。時代は変遷し、今やタクシーは地域公共交通の役割を担っているのである。

今回の総量規制実施に向けた論議の場となった「夜間における中洲地区の違法駐停車対策会議」では、ルールに従い、島内の中洲本通りにあるタクシー乗り場を使うようにするのが目的の一つだ。

社会実験が始まって一週間が経過した。利用者には輸送秩序を守るこのルールが大分理解されてきたという。国体道路ではかつてのような大渋滞は見られない。懸案事項が一歩一歩、着実にクリアされているように思われる。

福岡市タクシー協会の小山登・常務理事は社会実験の2週間、中洲のホテルに泊まりこんで成功に向け尽力されている。実施までには何回も論議を重ね、図面に修正を加えたという。たいへんなご苦労があったと拝察する。全事業者の協力でようやく「大きな歯車」が動き出した。まずは自主ルール定着に力を注がねばならない。

<山田>

※3月11日付・旬刊「トラポルト」第326号、旬刊「トラポルト九州」第31号「正論・対論」より/写真:2015年3月1日深夜、福岡市中洲付近の国体道路。客待ちタクシーの滞留はなくなり、スムーズに流れている