特定地域か自家用有償運送の許容か
2015年2月1日・第322号
兵庫県が昨年提出した第26次構造改革特区提案に、バス・タクシー事業者が見逃してはならないものがある。
提案は7項目から成るが、その1つに「市町村が必要な運送であると認め、かつ、市町村もしくは市町村が認める団体が、一つの小学校区の範囲内に限って実施するものとして、実施前に地域公共交通会議まはた運営協議会で報告した場合には、自家用有償旅客運送の登録を認める」というのがあるのだ。
これが認められれば、せっかく兵庫において減車が行われていても、他方では事実上の白タク、白バスが認められてしまい、タクシー事業者が準特定地域で行ってきた努力が無になってしまうという危機と危険がつきまとう。
ある関係者は、この提案が出された背景には、ある市の協議会で自家用有償運送の導入を検討していたところ、関係事業者が実力行使で阻止に動いたことがあり、それを契機に「穏便に」事を運ぶ方法を模索した結果だと指摘する。
事実関係の検証は後に行うとして、近運局の阿部・自交部長も指摘するように、論議抜きの承認は、「運営協議会や地域公共交通会議で論議という手続きを踏まないで有償運送ができるというのなら、国交省の考えとはちょっと違う」ということになってくる。
阿部部長は「通るかは分からない」としているが、時代の流れに乗り、万が一通ってしまったらどうなるのか。陵原の火のごとく全国に波及するのは目に見えている。そうならないよう、業界の協議会への積極参加が求められている。
<山田>
※2月1日付・旬刊「トラポルト」第322合併号、旬刊「トラポルト九州」第27合併号「正論・対論」より/写真:2015年1月7日、大阪市の「シェラトン都ホテル大阪」で開かれた大阪タクシー協会賀詞交歓会で来賓あいさつする阿部竜矢・近運局自動車交通部長