ウーバー・ライドシェア上陸とタクシーニーズ

2015年2月11日・第323号

2月10日の全タク連正副長会議で、富田会長はウーバーが福岡で「実験」を始めたライドシェアに触れ、「たいへんな問題」と危機感をあらわにした。

ライドシェアは米国で流行っているとされる。通行する自家用車等の空いている席を有効利用し、お金を払って相乗りして目的地まで行こうというもので、いかにも米国らしい合理的な発想だ。

表向きはヒッチハイクのマッチングアプリだが、行き先が同じなら運転者の善意でチャッカリ乗せてもらう「無賃乗車」とは違い、ライドシェアは日本で事業として成立するかを実験することに問題がある。九州大学の系列研究機関がデータ分析に参加する。

ヒッチハイクで降り際に運転者から「料金を頂戴します」と言わたら、ヒッチハイカー人口は激減してしまうだろう。しかし、ライドシェアが浸透し始めたら、減少を心配しなければならないのはタクシー事業者の方だ。ましてや外国人観光客年間2000万人達成は時間の問題とされる中、仮に福岡で浸透すれば、間違いなく五輪前の東京にも災難が降りかかってくる。

ライドシェア「実験」は2月5日で始められたとされるが、いまのところ、どのような保険に入る自家用車が実験参加しているのかなど実態は分からない。もし自家用保険で事業性のある運行をしていたときの事故の保障はどうなるのか。

事業として成立するための問題点をあげれば列挙にキリがないが、こうした有象無象にシェアを奪われないよう、タクシー事業者には日頃から地元市民に必要とされる取り組みの積み重ねと結びつきがひじょうに大事になってくる。

<山田>

※2月11日付・旬刊「トラポルト」第323号、旬刊「トラポルト九州」第28号「正論・対論」より/写真:2015年2月10日、東京都千代田区の「自動車会館」で行われた全タク連正副会長会議冒頭、発言する富田昌孝会長