認知度低いタクシーの深刻な問題

2014年12月1日・第316号

九州運輸局が2ヶ月に1回、開催している定例記者会見が11月28日にあり、記者は鹿児島県・鹿屋交通圏の準特定地域指定解除に関する質問を行った。

この質問に、石田勝利・自動車交通部長は「法律に基づく地域指定なので、解除の要件がクリアに決まっている」として、指標の1つである平成13年度の日車実車キロおよび日車実車営収(平均)が平成25年を下回ったから、と当然のごとく回答した。

全国どこでも、この基準は共通のものであり、11月20日に開かれた近畿運輸局自動車交通部長定例記者会見でも泉州交通圏の準特解除に関する質問があった。しかし、同じ準特解除でも、地方に行くほど深刻な問題を孕んでいるということが、同じ質問をぶつけることで浮き彫りになってくる。

どのようなことがあったから平成25年度の日車実車キロおよび日車実車営収数字が伸び、解除に至ったのかという質問に、近運局部長は「関空のLCC従業員の送迎用にタクシーが使われたこと」として、局地的な需要増があったとする一方、九運局部長は「地域の大手事業者(30両規模)が廃業したから」と述べ、全く異なる原因が同じ「準特解除」という結果になっていることが分かった。

しかし、もっど深刻なのは九州の会見では一般紙記者がいたにもかかわらず、部長が「資料がありますから必要な人はどうぞ」と勧めても取りに来る人は一人もいなかったことだ。関連質問もなかった。従って悲しいかな、タクシー問題は一般に知られていない。

<山田>

※12月1日付・旬刊「トラポルト」第316号「正論・対論」より/写真:11月28日に福岡市博多区の九州運輸局内で開かれた定例記者会見の模様