準特定地域解除に行政の責任はないのか
2014年11月21日・第315号
大阪の泉州交通圏の準特定地域指定が解除され、20日が経過した。これまでに2両の増車届があった。今後、続く事業者が出てこないか、地元は戦々恐々としている。
20日の近運局主催定例記者会見で、阿部竜矢・自動車交通部長は、準特指定解除は本省の判断としながら、関空のLCC従業員送迎にタクシーが使われたことが大きな要因とした見方を「聞いた話」として披瀝した。
そうだとすれば、泉州交通圏の南部にある泉佐野市の対岸にある関空島の特定需要が地域の実車走行キロと日車営収を押し上げたに過ぎない、ということになる。特定の需要とは、すなわちハイヤーで対応できる需要であり、地域の需要とは何の関係もない。
局地的な需要増で地域全体を判断されては、多くの事業者はたまったものではない。そのことを、うすうす知りながら、指定解除に走ったとしたら、国交省の判断は、果たして適切だったと言えるだろうか。
労働団体は、準特指定通達にある基準を疑問視している。否、指定基準の逆となったからと言って、解除に関する通達がないのに、解除することに疑問が沸き起こる。
労働団体の中には、準特の解除基準に疑問を抱き、パブリックコメントで指摘したところもあるが、国交省は梨のつぶてだったという。阿部部長は、再び供給過剰になれば再指定もありうるとしているが、改正タクシー特措法に期限が付されている以上、単なる気休めにしかならない。ここに来て、行政の責任があらためて問われるべき問題だろう。
<山田>
※11月21日付・旬刊「トラポルト」第315号「正論・対論」より/写真:11月7日に「岡山プラザホテル」で開かれた全タク連・第54回全国ハイヤー・タクシー事業者大会で講演する田端浩・国土交通省自動車局長