あの手この手 特定地域指定遅延の元凶

2014年9月21日・第309号

大部分の事業者の意志を受け、できるかぎり減車可能な特定地域を多く指定できるよう、基準を作成してきた国土交通省に対し、規制改革会議が「待った」をかけてから、はや3カ月が経過した。

6月初旬、国交省幹部から特定地域の指定基準等要件をどのようにしようと考えているのか、ヒアリングから始まり、タクシーとはあまり関係のなさそうな創業・ITワーキンググループから、特定地域に指定する際、事故件数や経営状況などの指数も考慮するようにとの意見書が提出された。

これらに基づき作業を進めていると、今度は8月末に橋下徹・大阪市長がすでに認定されている国家戦略特区にタクシー規制緩和などを上乗せするとして記者会見を開き、タクシー関係者をあわてさせた。

こうして見ると、指定基準策定作業を遅延させているのは国交省ではなく、規制改革派勢力である見るのが正しいようだ。もっとも、運賃の部分ではエムケイ等の下限割れ違法運賃事業者による行政訴訟と仮処分の行方によってくも違ってくる。

だから、記者には規制阻止のため、あの手この手を使ってくる元凶は、我われからは見えないところに潜んでいるような気がしてならないのである。

我われは、6年後のオリンピック開催というご褒美をいただいた。「東京のタクシーは世界一」も貢献したに違いない。しかし同時に、ならばタクシーも含めて世界標準に合わせなさい、という指令ももらってしまったのかもしれない。こんな時には立ち止まって、来た道を一度、振り返ってみるのが一番よいのではないか。

<山田>

※9月21日付・旬刊「トラポルト」第309号「正論・対論」より/写真:2014年2月5日に大阪市中央区の「大阪合同庁舎4号館」で開かれた第1回大阪府タクシー準特定地域合同協議会で、「規制改革派」に反対されながらも最終的に多数決で会長に選任され「こんなに歓迎されたのは初めて」を皮肉を混ぜながら就任あいさつをする安部誠治・関西大学社会安全学部教授