無関係ではない観光タクシーと橋下特区

2014年9月11日・第308号

大阪インターナショナル創設委員会・観光タクシー制度作業部会が9月9日、大阪市内で開かれ、英語で観光案内できるタクシー運転者の認定基準等の意見交換を行った。当日出された意見を事務局がまとめ、10月開かれる予定の本委員会で報告される。

外国人向けガイドができる運転者の認定とは別に、駅のタクシー乗り場などから乗り込む外国人には、英語、中国語、韓国語で書かれた「指差しシート」が用意されており、それを使って最低限の会話とコミュニケーションが取れるようになっている。

観光タクシーの認定制度が導入されているところは、沖縄県と青森県なのだそうだ。首都・東京や観光都市・京都では、すでに導入されているのではないかという気がしていたが、外国人を対象にした制度をタクシー業界全体が観光に取り組むには、いろいろと難しい問題があるらしい。

ともあれ、大阪でここまで来られた。観光タクシー部会部会長を務めてこられた青木義英・和歌山大学観光学部特任教授も感慨一入というところではないだろうか。大阪府と大阪市が共同提案している国家戦略特区構想には、タクシー規制緩和が盛り込まれている。先の会見で、橋下市長はサービス良し、マナーも良しの運転者を抱える労働環境の良好な事業者を優遇したい意向を示したが、これには大阪タクシー協会など業界側の反発が強い。

こうした中、観光ガイドを務める運転者がガイド料金を徴収できるようになるには、大阪府が国家戦略特区に盛り込み申請するなどしなければならない。10月の本委員会では、安部誠治・関西大学教授や近畿運輸局の幹部も出席する。そこでは8月末の記者会見で明らかにされたタクシー規制緩和特区構想にいつまでも静観の構えではいられないはずだ。

<山田>

※9月11日付・旬刊「トラポルト」第308号「正論・対論」より/写真:2011年2月20日に国と大阪府の補助により府内で50両導入したEVタクシー(日産リーフ)出発式。橋下氏はその後、大阪府知事から大阪市長への鞍替え選挙で市長に当選。橋下氏知事時代、府の要請でEVタクシーを導入した事業者のなかには、最近のタクシー規制緩和特区構想発言に批判的な発言をする人もいる