なみはや裁判「処分はこれから」に原告反発

2014年8月21日・第306号

大阪のなみはやオーシャン交通グループ2社が、事業許可取り消し処分を不服として、国と近畿運輸局を相手取り3年余りの歳月を費やして勝訴。被告の国側は控訴を断念したため、判決が確定した。

その国の敗訴が決まり1カ月が経過したが、この事案の取り扱いはどうなっているのか。近畿運輸局自動車監査指導部は本紙の取材に、昨年施行した新監査方針と処分基準の通達には「事業者に有利になるように審査しなさい」との下りがあると指摘する。

さらに、現行基準で事業者が不利な場合は旧基準を照合して判断しなさいという下りもあり、今、まさにそれに基づき再審査を進行しているのだという。

番能幸晴・首席自動車監査官は「3年前の事業許可取り消し処分までに累積されていた監査処分点数は3年余りの間に消えたが、車両停止処分を済ませていない違反については消えていない。判決は、事業許可取り消しを取り消しなさいとしているが、判決文をよく読むと、この部分では違反を認めるが、この部分はこうしなさいと書いてある。また当事者が有利になるように審査しなさいという通達もあるので、これらに則り慎重に再審査を進めている。個人的には年内にも処分を実施したいと思っている」と語る。

現在分かることは、事業許可取り消しが取り消され、処分日数は3年前よりも少なくなるということぐらいだ。これに対し、原告側の森社長と弁護士団は納得いかないでいる。「処分取り消し判決が出た以上、通常の法解釈からも過去の違反にまで遡及することはできない」という立場に立つ。

車両停止処分は承服できないということだが、判決に対する法解釈を巡り、再び法廷で争うことになるのか、どうか。

<山田>

※8月21日付・旬刊「トラポルト」第306号「正論・対論」より/写真:6月26日の大阪地裁判決言い渡し直後、涙を拭う森正和・なみはやオーシャン交通社長