富田会長の世界標準運賃発言 地方で波紋
2014年7月21日・第303号
富田会長がブチ上げた「世界標準運賃」が物議をかもしている。問題は運賃水準を下げることにも言及しているところにあるようだ。
東京・大阪で世界標準運賃の導入を視野に入れての発言と見られていた大タ協・三野会長の世界標準運賃発言も自身のアンテナには否定的意見が多数キャッチされたのか、7月18日の定時理事会で「そもそも世界標準運賃などはなく、問題は距離にある」と修正発言に努めた。
この世界標準運賃、内容はともかくイメージが先行しているようで、地方の受けはあまり良くない。
小型・初乗り1750mまで500円、事後加算349mまでごと60円の運賃で運行する沖縄本島でも異議がありそうだった。
多忙のなか、2つの準特定地域協議会会長を務める安部誠治・関西大学社会安全学部教授も「先進諸国ではチップ込みで運賃を考えねばならず、その点で日本のタクシー運賃は安くはないが、決して高いとも言えない」と文化の違いを指摘している。
東京では世界標準運賃策定に向けプロジェクトチームが組まれたというが、少なくとも記者が聞く限りでは、大手と中小の間で捉え方にギャップがあり、そう簡単に実施できそうもないという感触だ。物価安定政策会議の宿題に反し、来年の消費増税で初乗り750円となることに危機感があるのではないか。
だから、世界の、というよりは、リピーター離れを懸念しての発言もあるのかもしれない。ただ、運賃に関しては、地方でも地元の動向を見極めたうえでの諸対策が急務となっていることは間違いない。
<山田>
※7月21日付・旬刊「トラポルト」第303号「正論・対論」より/写真:7月9日の全タク連正副会長会議から