東京で始まった運賃制度改革論議

2014年7月1日・第301号

全タク連・第101通常総会、冒頭の会長あいさつで富田会長は、運賃制度改革に言及した。「世界標準」を目指すというもので、すでに東タ協では若手経営者を中心に検討委員会が設けられている。

富田会長の考えは、東京の若手経営者に今秋、ロンドンタクシーの英国をはじめ、各国を訪問して勉強してもらい、年末に一定の方向性を出し、メーター改造が1回で済むよう、来年10月に予定される消費増税に伴う運賃改定時に実施したいというものだ。

初乗り距離短縮で、乗り捨て部分の多い初乗り運賃を「利用者目線」で利用しやすい運賃にしたいことが主眼のようだが、できれば運賃水準の引き下げも同時に行いたいとしている。初乗り金額を200円や300円にすることも視野に入れるなど、路線バスとの競合を目指す考えのようにも受け取れる。

富田会長は「一部でこの考えに反発があるようなので、先行して東京だけでも導入したい」意向を示す。この考えは7年前からあったのだという。思えば、規制緩和の弾力的運用で、東京で初乗り短縮方式を導入したのは、ほかならぬ富田会長の日の丸交通だった。

しかしその後、初乗り短縮を止め、2kmに戻した。総括をしたうえでの考えだと理解したい。東京の前回運賃改定と物価安定政策会議の指摘、再規制と改正タクシー特措法の施行、そして規制改革会議の巻き返し…。

7年前からの問題を引きずっていたとの見方もあるだろうが、そもそもタクシー運賃の世界標準とは、どこにあるのだろうか。

<山田>

※7月1日付・旬刊「トラポルト」第301号「正論・対論」より/写真:6月23日、東京・千代田区の「経団連会館」で開かれた全タク連・第101回通常総会から。