規制改革会議と利用し易い運賃
2014年6月21日・第300号
規制改革会議の作業部会が、特定地域をせめて全国の準特定地域の半数以下にすべきとし、現在進められている指定方法は裁量権の逸脱と国交省に矛先を向けた。
6月13日、安倍総理に提出された答申は、今国会で論議されている農協改革とホワイトカラーエグゼンプションが中心で、タクシーの規制改革まで及ばなかったもようだ。
しかし、つぎの答申提出時にタクシーに関する記述はないとは言えず、予断は許されない状況になっている。ただ、つい先日、自民、公明、民主の与野党国会議員の議員立法により多数賛成で成立した改正タクシー特措法はそう簡単には覆せない。そのため規制改革会議は、運用面を突いてきているとされる。
運賃はMKなどが先日、各地裁に請求した運賃変更命令差し止めが認められ、本裁判一審判決まで現在の公定幅下限割れ運賃が適用できるようになった。同社グループは低額運賃のため運転者の賃金が抑制されているということにならないよう、リース部分を2万円程度引き下げたとされる。通常の需要対応なら前年比月額2万円アップ、となる。
一方、公定幅運賃でありながら、5月以降は営収が落ちている、という話をよく聞くようになった。需要が低迷するなか、いかにタクシーを利用してもらえるかを検討しなければならない。また高齢化が進む運転者を若返らせ、確保するにはどうすべきか。
外食産業のように単に時給をアップすればしのげる業界ではないだけに、安易に運賃を安くする前に真摯な論議が必要だ。
<山田>
※6月21日付・旬刊「トラポルト」第300号「正論・対論」より/写真:6月23日、東京・千代田区の「経団連会館」で開かれた全タク連・第101回通常総会閉会後に開かれた懇親会から。